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商品説明文が1点30分で止まる小売・ECへ|AIで型を作り100点を回す

AI活用

商品説明文を1点ずつ書き起こすのをやめて、自社の売れ筋3点から「型」を1つ抽出し、その型にAIで流し込むやり方に切り替えると、1点30分かかっていた作業が数分の下書き+人の手直しに変わります。しかも書き手の気分やその日の疲れ具合で文章がばらつく問題まで一緒に片付きます。この記事では、沖縄の小売店・EC担当者が実際にぶつかる「棚卸しの合間に説明文を書く」という現実を前提に、型を作る前と後で何がどう変わるのかを並べて説明します。広告のキャッチコピーの話ではなく、商品ページに載る説明文だけに絞ります。

1点30分は、書くのが遅いのではなく毎回ゼロから考えているから

商品写真と採寸メモから商品ページの説明文を作る作業のイメージ

那覇の雑貨店で、新しく入れた琉球ガラスのグラスをネットショップに載せる作業を想像してください。写真は撮った。サイズも測った。あとは説明文だけ、のはずが、ここで手が止まります。何から書き始めるか。産地の話を先に置くか、それとも手触りから入るか。「ぽってりした厚み」と書くか「厚手のつくり」と書くか。冷たい飲み物を入れたときの結露の話を入れるべきか。この迷いの一つひとつが数十秒から数分を食い、気づけば1点で30分が溶けています。

やっかいなのは、この30分の大半が文章を書いている時間ではなく、構成を決め直している時間だという点です。前回グラスを載せたときにも同じ順番で悩んだはずなのに、その判断はどこにも残っていません。担当者の頭の中にだけ薄く残り、一週間経てば消えます。だから次の商品でまたゼロから考える。50点、100点と続けば、同じ判断を100回やり直していることになります。

ここに気づくと、打ち手の方向が変わります。「速く書けるようになる」ではなく「毎回考え直さなくて済むようにする」。前者は個人の慣れの話で引き継げませんが、後者は形にして残せます。その残す形が型です。

売れ筋3点を並べて、自分たちが何を書いてきたかを読み取る

型を作るとき、テンプレート集を探しに行く必要はありません。材料はすでに自社のショップにあります。直近でよく売れている商品を3点選び、その説明文を並べて見比べるところから始めます。3点というのは適当な数ではなく、1点だとその商品固有の書き方と全体に共通する書き方の区別がつかず、5点以上だと共通点を探すのに時間がかかりすぎるからです。

選ぶ基準は売れている順が基本ですが、可能なら種類が違うものを混ぜます。食品、雑貨、衣類のように性質の違う3点を並べると、共通して書いていることが浮かび上がりやすくなります。逆に同じカテゴリで3点選ぶと、そのカテゴリでしか通じない書き方まで型に混ざり込みます。

並べたら、上から順に「この段落は何のために書いてあるか」をひと言でメモしていきます。実際にやると、たいてい似た並びが見つかります。冒頭でどんな場面に向いた商品かを一文で言い、次に手触りや味などの感覚的な特徴を書き、それから素材やサイズといった事実を並べ、最後に使い方や注意点を添えている——といった具合です。この並びが、あなたの店がこれまで無意識に守ってきた順番です。

ここで大事なのは、良い型を新しく作るのではなくすでにうまくいっている型を言語化するという姿勢です。売れている商品の説明文は、少なくともお客さんに読まれて買われている実績があります。それを捨てて一般的なテンプレートに寄せると、店の言葉づかいだけが失われます。3点から読み取った並びを、そのまま「うちの型」として書き留めます。

書き留め方は簡単なメモで十分です。段落ごとに「何を書くか」「何文字くらいか」「書かないこと」を一行ずつ。この「書かないこと」が後で効きます。効果を断定しない、他店との比較をしない、在庫状況を本文に書かない——といった自店のルールをここに入れておくと、AIに流し込んだときの手直しが目に見えて減ります。

写真とスペック表だけを渡して、下書きを起こす

型ができたら、次は下書きです。ここでのコツは、AIに渡す材料を写真と数値に絞ることです。商品名だけを渡して「良い説明文を書いて」と頼むと、それらしい言葉は返ってきますが、実物を見ていない文章になります。素材の質感も縫い目の様子も、写真を渡さなければ書けません。

渡すのは、商品写真(できれば全体・寄り・使用場面の3枚程度)と、サイズ・重さ・素材・原材料・原産地・付属品といったスペック表です。加えて先ほど作った型を「この順番・この分量で書いて」と指定します。この三点セットで頼むと、返ってくる下書きの質が変わります。写真から読み取れる形や色、スペック表の数値、型が指定した並び、その三つが揃っているので、あとは事実確認と言葉の微調整だけになります。

実務では、スペック表の作り方が案外ネックになります。仕入れ先の納品書やメーカーの資料に情報は載っているのに、商品ごとにばらばらの形式で紙やPDFに散っている。ここを、自店で扱う項目に揃えた表として整えておくと、下書きの精度が一段上がります。整えるのは一度きりの作業ではなく、新商品が入るたびに数分ずつ足していく作業です。棚入れのついでにスマホで写真を撮り、そのまま数値を打つ習慣をつけると、説明文を書く段になって困らなくなります。

下書きが出てきたら、いきなり文章を直すのではなく先に事実だけを確認します。サイズは合っているか、素材の表記は納品書どおりか、産地の書き方に誤りはないか。ここで数値の間違いが混ざったまま言葉を磨いてしまうと、あとで書き直す範囲が広がります。事実が固まってから、言葉づかいを店の口調に寄せる。この順番を守るだけで手戻りが減ります。

サイズ違い・色違いが一番効く。100点を回すのはここから

1つの型からサイズ違い・色違いの商品ページを量産するイメージ

型の効き目が一番はっきり出るのは、実は新商品ではなくバリエーションです。同じデザインでS・M・Lの3サイズ、同じ形で色が5パターン。1点ずつ手で書いていた頃、ここが最も苦しい場所でした。全部同じ文章にすると検索エンジンから見て中身の薄いページが並びますし、かといって毎回書き分けるとサイズだけが違う15点で何時間も費われます。

型を持っていると、この量産が現実的になります。共通する部分は型のまま固定し、違う部分だけを差し替える指示にします。サイズ違いなら実寸と、そのサイズが向いている体型や用途。色違いなら色名と、その色から受ける印象、合わせやすい場面。この差分だけを商品ごとに変えて下書きを起こすと、文章の骨格は揃ったまま、中身はページごとに変わります。

色違いのときに気をつけたいのが色名の扱いです。仕入れ先の呼び方(たとえば「サンドベージュ」)をそのまま使うと、お客さんが検索に使う言葉(「ベージュ」「生成り」)と噛み合わないことがあります。型の中に「仕入れ先の色名は残し、一般的な色の言い方も本文に一度入れる」というルールを置いておくと、この取りこぼしが減ります。実際の色味を写真で渡しておけば、AIの下書き段階でその言い換えまで含めて出てきます。

数を回すと、型そのものの弱点も見えてきます。この段落は毎回手直ししているな、と気づいたら、その気づきを型のメモに戻します。「素材の説明で毎回“高級感”と書かれるので、この語は使わないと明記する」といった一行を足すだけで、次の10点の手直しが軽くなります。型は作って終わりではなく、回しながら削っていくものです。

公開ボタンを押す前に、必ず自分の目で直す四か所

下書きがどれだけ整っていても、そのまま公開するわけにはいきません。人が必ず見る場所を四か所だけ決めておくと、確認が習慣になります。全文を読み直そうとすると結局時間が戻ってきてしまうので、あえて絞ります。

一つ目は数値と表記。サイズ、内容量、原材料、原産地。ここは間違えると単なる誤字ではなく表示の問題になります。二つ目は効果や効能に触れた言い回し。食品や化粧品まわりで、下書きは無自覚に踏み込んだ表現を出してくることがあります。「体にいい」「肌が変わる」といった断定は、内容によっては書けない領域です。三つ目はお店の口調。硬すぎる、または妙に馴れ馴れしい。ここは読んですぐ分かるので、気になった一文だけ直します。四つ目は写真にないことを書いていないか。付属品や刻印など、実物にない要素が混ざると返品の原因になります。

この四か所は、貼り紙にして作業机に置いておくくらいでちょうどいい粒度です。担当者が複数いる店では、誰がやっても同じ場所を見るようになるので、公開後に慌てて直す回数が目に見えて減ります。

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前と後で、何がどう変わったか

ここまでの工程を、型を持たない状態と持った状態で並べてみます。数字は商品の性質や担当者の慣れで変わるので、あくまで作業の流れとして読んでください。

見る点1点ずつ手書きしていた頃型を1つ作って回した後
1点にかかる流れ構成を考える→書く→読み直す。考える時間が大半写真とスペックを渡す→下書き→四か所を直す
文章のばらつき担当者・その日の忙しさで長さも順番も変わる段落の並びと分量が揃うので、店として一貫する
バリエーション全部同じ文章か、書き分けを諦めるかの二択共通部分は固定、差分だけ差し替えて量産できる
検索での見え方ページごとに情報の粒度が違い、載っていない項目も出る素材・サイズ・用途が毎ページ揃うので拾われやすい
引き継ぎ書き方が個人の頭の中にあり、新しい人が困る型のメモを渡せば初日から同じ形で書ける

時間短縮は分かりやすい効果ですが、現場で助かるのはばらつきが消えることだという声のほうが多い印象です。1点あたりが速くなっても、公開後に「あの商品ページだけ情報が足りない」と言われて直しに戻れば、結局トータルの手間は減りません。毎ページ同じ項目が同じ順で載っている状態を保てると、その手戻りがなくなります。

検索での見え方は、うまい文章より「揃っていること」で変わる

商品説明文を検索の観点から見ると、評価されるのは表現の巧みさよりお客さんが知りたい項目が抜けなく書かれているかです。素材、サイズ、使う場面、手入れの方法、注意点。人が「これ買っていいか」を判断するために必要な情報が揃っているページは、検索する人の意図にも噛み合いやすくなります。

1点ずつ手書きしていると、ここが必ず崩れます。時間があった日に載せた商品は手入れ方法まで丁寧に書いてあるのに、忙しい日に載せた商品はサイズと値段だけ。同じ店の中で情報の濃さがまちまちになり、薄いページは検索結果に出てきません。型は、この濃さを一定に保つ仕掛けとして働きます。

さらに、AIに調べ物を任せる人が増えたことで「説明文が構造化されているか」の重みは以前より増しています。生成AIが答えを組み立てるとき、素材やサイズが本文中にきちんと書かれているページは引用されやすく、写真しかないページは扱われません。この流れは今後も続くと見ていいでしょう。関連する考え方は当社ブログの他の記事でも扱っています。

沖縄の小さなお店で回すときに、詰まりやすいところ

最後に、実際に導入していく段階で相談を受けやすい点をいくつか。まず誰が型を持つか。店主が一人で全部やっている場合は問題になりませんが、パートさんが商品登録を担っている店では、型のメモをどこに置くかを決めておかないと使われません。共有フォルダの奥ではなく、登録作業をする端末のデスクトップやすぐ開けるメモに置くのが現実的です。

次にローカルな言葉の扱い。県産の食材名、方言まじりの商品名、島ごとの呼び分け。こうした言葉は、AIの下書きだと一般的な表記に置き換えられてしまうことがあります。型のメモに「この語はこう書く」という表記の一覧を持たせておくと、毎回直す手間がなくなります。地域の言葉は店の個性そのものなので、ここは面倒でも先に固めておく価値があります。

それから始める規模。100点あるからといって一気にやる必要はありません。売れ筋3点から型を作り、そのカテゴリの10点ほどで試し、手直しの量が落ち着いてきたら残りに広げる。この進め方なら、途中で型を直しても影響範囲が小さくて済みます。逆に最初から全商品に流すと、型の弱点が100点分の手直しとして返ってきます。

どこから手をつけるべきか、自社の商品でどこまで型にできそうか——このあたりは扱う商品や体制によって答えが変わるので、状況を伺いながら整理するのが早いと思います。AI活用の全体像はAIエージェント/AI活用支援のページにまとめていますので、具体的な進め方の相談はお問い合わせからどうぞ。

まとめ

商品説明文で時間が溶けるのは、書くのが遅いからではなく毎回ゼロから構成を考え直しているからです。だから打ち手は「速く書く練習」ではなく「考え直さない仕組み」——売れ筋3点から自社の型を抽出し、写真とスペック表を材料にAIで下書きを起こし、公開前に四か所だけ人の目で直す。この流れに変えると、1点あたりの時間が縮むだけでなく、担当者や日によって変わっていた文章のばらつきが揃い、検索やAIから見たときの情報の抜けもなくなります。

効き目が最も大きいのはサイズ違い・色違いの量産です。共通部分を型で固定し、差分だけを差し替える形にすれば、これまで諦めていた書き分けが現実的な作業量に収まります。まずは自社で一番売れている3点を並べて、そこに何を書いてきたかを読み取ることから始めてみてください。