沖縄セールスパートナー株式会社

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点検記録と車検の案内に追われる整備工場へ|AIで書類と連絡をまとめる

整備工場の一日で、車をいじっている時間よりも書類とスマホに向かっている時間のほうが長い、と感じたことはないでしょうか。点検記録簿の記入、整備手帳への転記、車検の期限が近いお客様への連絡、見積の説明、次回の予約。どれも売上には直結しないのに、抜けると信用に響きます。結論を先に言うと、この一連の流れは作業を減らすのではなく、記録する場所と順序を決めるだけで大きく軽くなります。ピットで書くのはやめて、スマホに向かってしゃべる。写真を撮る順番だけ固定する。あとはAIが記録簿の下書きとお客様への案内文を組み立てる。沖縄セールスパートナーがこの記事でお伝えしたいのは、その1台分の流れを受付から次回案内まで通しで追った、実際の段取りです。

1台が入ってから出るまでを、まず紙のまま追ってみる

受付から点検・記録・顧客説明・次回案内まで、整備工場の1台分の流れを時系列で表した図

朝いちで来店されたお客様の軽自動車を例に、いまの流れをそのまま書き出してみます。受付でお客様から車検証と整備手帳を預かり、受付簿に車両番号と氏名と連絡先を書く。走行距離を見て、前回の記録と照らし合わせる。お客様が「エアコンの効きが弱い気がする」とおっしゃるので、それを受付簿の余白にメモする。ここまでで紙が二枚、走り書きが一つ。

ピットに入れてリフトで上げ、下回りとブレーキとタイヤを順に見ていく。オイルのにじみ、ブレーキパッドの残り、タイヤの溝と偏摩耗。手はオイルで汚れているので、その場ではペンを持ちたくありません。だから頭の中に覚えておいて、後でまとめて記録簿に書く。ところが途中で電話が鳴り、別のお客様から車検の予約の相談が入る。戻ってきたときには、右前のタイヤの溝が何ミリだったか自信がなくなっていて、もう一度見に行く。この「もう一度見に行く」が、沖縄の小さな工場でいちばん静かに時間を食っている動作です。

点検が終わったら記録簿を埋めて、交換が必要な部品を拾って見積を作り、お客様に電話する。エアコンの件は、ガスの量なのか、コンプレッサーなのか、内気の詰まりなのかを説明したいのですが、専門用語を並べると伝わらない。かみ砕いて話すと今度は長くなり、お客様も途中で「じゃあお任せします」となってしまう。そして最後に、次回の点検と車検の時期を控えておく。この控えが手書きの台帳やカレンダーの書き込みだと、忙しい月に丸ごと飛びます。

受付の三分で、あとの一時間が決まる

変えるのはここからです。受付でやることは増やしません。増やさないかわりに、入り口で撮る写真の枚数と順番を固定します。車検証、メーターの走行距離、車両の四隅、そしてお客様が気にしている箇所。この五点を必ず同じ順で撮る。順番を決める理由は、あとでAIに渡したときに「何枚目が何の写真か」を説明しなくてよくなるからです。順番がばらばらだと、毎回どれがメーターの写真かを人間が指し示す手間が発生し、それだけで仕組みが続かなくなります。

そしてお客様の話は、受付簿の余白ではなくスマホの音声メモに入れます。お客様が帰られた直後、三十秒でいい。「軽自動車、走行六万二千キロ台、エアコンの効きが弱いという申し出、去年の夏は問題なかったとのこと、車検は来月末が期限」。この程度をしゃべっておくだけで、あとの工程が変わります。手で書いた「エアコン弱い」という四文字と、しゃべった三十秒の情報量はまるで違います。去年の夏は問題なかった、という一言が、あとで原因を絞るときに効いてくるからです。

紙を完全になくす必要はありません。というより、なくさないほうがいい場面があります。お客様から預かった車検証や整備手帳、お客様に署名をいただく書類は紙のままです。手が汚れる場所での記録と、お客様への説明文だけを音声とAIに寄せる。この線引きをはっきりさせておくと、現場が混乱しません。

ピットではペンを持たない、しゃべる

点検中の記録が、この工程でいちばん変わるところです。リフトの下で、見たものをそのまま口に出します。「右前のブレーキパッド、残り四ミリくらい。左は五ミリ。ローターに軽い段付きあり。右後ろのタイヤ、内側が減ってる、外側と比べて二ミリくらい差がある。ドライブシャフトのブーツ、ひび入りかけ、破れてはいない。エアコンのフィルター、砂とほこりでかなり詰まってる」。手袋のまま録音ボタンを押すだけなので、手を洗う必要がありません。

ここで大事なのは、専門用語のまま雑にしゃべっていいということです。整えるのは後工程の仕事です。「たぶん」「くらい」「なんとなく」も、そのまま入れてかまいません。むしろ断定できないところを断定しない形で残しておくほうが、あとでお客様に説明するときに誠実な言い方になります。

写真も同じで、気になった箇所を見つけた瞬間に撮ります。パッドの残り、タイヤの偏摩耗、詰まったフィルター、にじんでいるオイル。このとき、しゃべった内容と写真の時刻がそろっていることが後で効きます。写真と音声が同じ時間帯にあるので、AIに渡したときに「この写真はこの発言のことだ」と結びつけやすくなるのです。だからこそ、写真を撮ってから一言しゃべる、という順序を守ります。逆にしても構いませんが、工場の中で全員が同じ向きに揃っていることのほうが大切です。

写真と音声から記録を起こす順序を、そのまま実演する

写真と音声を取り込み、点検記録簿の下書きに変換する流れを示した図。読み取れない項目は空欄のまま残す

ここが工程の中心です。順序を間違えると、AIが空欄を勝手に埋めてしまいます。正しい順序は、音声を文字にする、写真を突き合わせる、記録簿の形に流し込む、そのあと人が見る、という四段です。

まず音声を文字に起こします。この段階では整形させません。「右前のブレーキパッド残り四ミリくらい、左は五ミリ、ローターに軽い段付き」という、しゃべったままの文字列にしておきます。ここで先に整形させると、AIが「四ミリくらい」を「4.0mm」と書き直してしまうことがあります。測ったわけではない値が、測った値の顔をして記録に残るのは危険です。

次に写真を突き合わせます。順番を固定してあるので、一枚目は車検証、二枚目はメーター。ここからナンバーと車種と走行距離を読み取ります。三枚目以降の点検中の写真は、撮った時刻の近い発言と結びつけます。そのうえで、AIには「写真から読み取れないことは空欄のままにして、推測で埋めないこと」を必ず指示します。この一文があるかないかで、記録簿の信頼性は完全に変わります。読み取れなかった項目は空欄で上がってきて、人が現車で確認する。それが正しい姿です。

三段目で、点検記録簿の項目に流し込みます。ここでAIがやるのは翻訳です。「タイヤの内側が減ってる、外側と二ミリ差」を、記録簿の該当欄に入る書き方へ整える。「パッド残り四ミリくらい」は、測定値ではなく目視の所見として区別して置く。そして交換を検討すべき箇所を、緊急度で三段に分けて並べます。今回やるべきもの、次回の点検までは持つもの、様子を見るもの。この三段の切り分けは整備士の判断ですから、AIの案はあくまで下書きとして扱います。

四段目が人の確認です。ここを飛ばす運用は作りません。上がってきた記録簿の下書きに目を通し、空欄と数値と緊急度の三点だけを見る。全文を読み直すのではなく、この三点に絞ります。そうすると確認は数分で終わります。手書きで一から埋めていた時間と比べれば、はるかに短い。そして人が判断した内容が最終形になるので、記録の責任の所在も動きません。

お客様への説明文は、専門用語を残したまま二重にする

整備の説明で難しいのは、正確さとわかりやすさが引っ張り合うところです。正確に書くと伝わらず、やわらげると「結局どうなんですか」と聞き直される。ここでAIが手伝えるのは、同じ内容を二層で用意することです。

上の層は、お客様に読んでいただく短い説明。「右後ろのタイヤが内側だけ偏って減っています。このままだと車検の基準に届かなくなる可能性がありますので、今回の交換をおすすめします。あわせて足まわりの調整を見たほうがよいかもしれません」。下の層は、整備士が根拠として持っておく所見。偏摩耗の方向、残り溝の目視値、アライメントを疑う理由。上の層だけをお客様にお送りし、下の層は社内の記録に残す。

写真を添えると、この説明が一気に短くなります。詰まったエアコンフィルターの写真を一枚見ていただければ、なぜ効きが弱いのかの説明に三分かけなくてよくなります。文章と写真をセットで組み立てるところまでをAIの下書きに任せて、送る前に整備士が一読する。ここでも人の目を通す一手間は残します。

金額の話は、この下書きに含めないほうが安全です。部品の在庫や仕入れの状況、作業の範囲で変わるものを、AIが過去のやりとりから引っ張って書いてしまうと後で食い違います。見積の数字は人が入れる。ここは線を引いておくべきところです。

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ビフォーアフターを、工程ごとに並べて見る

言葉で追ってきた流れを、一台分の工程ごとに対比してみます。何を紙のまま残し、何を音声にし、どこまでAIに任せるかの線引きがはっきりします。

工程いままでこれから(手段)AIに任せる範囲
受付受付簿に手書き、申し出は余白にメモ車検証・メーター・四隅・気になる箇所を定型順で撮影+三十秒の音声メモ(紙の車検証・整備手帳は預かりのまま)写真から車種・ナンバー・走行距離を読み取り、受付情報の下書きを作る
点検頭で覚えて後でまとめて記入、思い出せず再確認手袋のまま音声で所見を口述、気になる箇所は撮ってから一言何もしない(記録するだけ)
記録記録簿を手書き、整備手帳へ転記音声を文字化→写真と突き合わせ→記録簿の形に流し込む下書きの生成。読み取れない項目は空欄で残し、推測で埋めない
顧客説明電話で口頭、うまく伝わらず長引く短い説明文+写真を送り、必要なら電話で補うお客様向けの説明文と社内向け所見の二層を下書き。金額は人が入れる
次回案内台帳やカレンダーに手書きで控える期限を台帳に登録し、時期が来たら案内文の下書きが上がる対象の抽出と案内文の下書き。送信の判断と実行は人

この表で目を留めていただきたいのは、点検の行が「AIに任せる範囲=何もしない」になっているところです。いちばん人の技術が要る工程には、AIを入れません。入れるのはその前後、記録と伝達の部分だけです。ここを取り違えて点検の判断までAIに寄せようとすると、必ず現場が抵抗します。そして抵抗するのが正しい。

車検案内は「送る」より「拾い出す」を自動にする

車検の案内で漏れるのは、文章を書くのが面倒だからではなく、対象を拾い出す作業が月末の忙しさに埋もれるからです。だから自動化する順序も、案内文の作成より先に、対象の抽出を置きます。

やることは、受付のときに登録した車検の期限を一か所にまとめておくだけです。紙の台帳でも表計算でもかまいませんが、一か所であることが条件です。二か所に分かれていると、どちらが正しいかを人が確認する工程が増えて、結局止まります。期限が二か月先に迫った車両を毎週決まった日に自動で拾い出し、一覧にして手元に出す。ここまでを機械にやらせます。

そのうえで、拾い出された一台ごとに案内文の下書きを作ります。前回の点検で「次回までは持つ」と判断した箇所があるなら、そこに触れた案内になります。「前回の点検でブレーキパッドの残りが少なくなっていましたので、今回あわせて確認させてください」。この一文が入るだけで、案内は定型文からその車の話に変わります。お客様からすると、自分の車をちゃんと見てくれているという感覚になる。文章の巧拙よりも、前回の記録を引き継いでいるかどうかのほうが伝わります。

送信は人がやります。案内の文面ができていて、送るボタンを押すだけの状態になっていれば、月末の忙しさの合間でも五分で片づきます。逆に、自動で送るところまで機械に任せると、すでに他の工場で車検を済まされたお客様に案内が飛ぶような事故が起きます。AIエージェントの導入を考えるときも、私たちは「拾い出しは自動、外向きの発信は人が最後に押す」という形をおすすめしています。

沖縄の工場で続けるための、小さな条件

ここまでの流れは、道具を増やす話ではありません。増えるのはスマホの使い方の決めごとだけです。それでも定着するかどうかを分けるのは、いくつかの地味な条件です。

ひとつは、音声を入れる場所を一か所にすること。あるスタッフはメモアプリ、別のスタッフはメッセージアプリの自分宛て、というふうにばらけると、後から探せません。工場によっては、社内のグループに投稿する形にしておくのがいちばん続きます。全員の目に入るので、記録し忘れにも気づきます。

もうひとつは、写真の撮り方をベテランに決めてもらうこと。若いスタッフのほうがスマホには慣れていますが、「どこを撮れば後でわかるか」を知っているのはベテランです。パッドを撮るときにどの角度から撮れば残りが伝わるか、タイヤの偏摩耗をどう写せば一目でわかるか。これは経験の側にある知識なので、そこを決める役はベテランに渡したほうが早いし、仕組みが受け入れられやすくなります。

三つめは、うまくいかなかった回を責めないこと。音声を入れ忘れた日、写真の順番が崩れた日は必ずあります。そのときは手書きに戻ってかまいません。紙と音声の両方が使える状態を残しておくことが、この仕組みの安全装置です。片方に寄せきると、崩れた日に業務が止まります。

導入の規模や向いている工程は、工場の台数や人数、いま使っている顧客管理の形によって変わります。何をどこまで任せられるかは内容によりますので、実際の一日の流れを見せていただいたうえでご相談いただくのが確実です。似たような業務の整理についてはこれまでの記事でも触れています。

まとめ:記録の順序を決めるだけで、一台分の流れが軽くなる

受付から次回案内までを通しで見てくると、時間を食っていたのは整備の作業そのものではなく、その周りの記録と伝達だったことがわかります。ピットでペンを持たずに口述する、写真を同じ順番で撮る、音声を文字にしてから写真と突き合わせる、読み取れないところは空欄で残す、お客様向けと社内向けを二層で作る、車検の対象は自動で拾い出して送信は人が押す。どれも大きな投資ではなく、順序の決めごとです。

そして、いちばん技術が要る点検の判断には、あえてAIを入れません。人がやるべきところを人に残したまま、その前後だけを軽くする。これが整備工場でこの手の仕組みが続く条件だと考えています。自分の工場のどの工程から手をつけるべきか迷われたら、お問い合わせから現状の流れをお聞かせください。どこを紙のまま残すべきかも含めて、一緒に線を引いていきましょう。