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沖縄の中小企業の生成AIツール選び方|ChatGPTとGeminiの使い分け

ツール

「ChatGPTとGeminiは、結局どちらを社内に入れたらいいですか」。県内の経営者や、総務と兼務で社内のIT周りを見ている方から、いちばん多く受ける質問がこれです。比較記事を何本も読んでも決めきれず、そのまま数か月止まっている——という話も珍しくありません。

結論から言えば、どちらか一方を「自社の生成AI」として選ぼうとするから決まらないのであって、決めるべきは「社内のどの場面で、どちらを開くか」という持ち場です。機能の優劣は数か月で入れ替わりますが、「取引先への案内文を書く」「過去の資料を探す」といった仕事の場面はそう簡単に変わりません。場面から逆算すれば、選び方はぐっと単純になります。

この記事では、沖縄の中小企業で実際に起きる仕事を文章づくり/情報の下調べ/社内資料の検索/Excelなどのオフィス作業/画像づくりの5つに分け、どちら側の持ち場にすると迷わないかを整理します。あわせて、2つ以上を併用するときの線引きと社内に広めるときの注意点も扱います。AI活用そのものの全体像は沖縄の中小企業がAI・生成AIを活用するには?で解説しているので、本記事は「ツールの選び分け」に絞ります。

「どちらが優秀か」を比べても、社内は動き出さない

よく聞くのが「比較サイトを見たが、書いてあることが記事ごとに違う」という声です。それは当然で、機能や提供条件の更新が早い分野なので、書かれた時期が少し違うだけで結論が変わります。スペック比較を突き詰めても、半年後に同じ悩みへ戻るだけです。

もうひとつのつまずきが、「全社で1つに統一しよう」と考えた瞬間に話が止まることです。基幹システムがどちらのクラウドに寄っているか、誰が管理するのか、費用はどの予算から出すのか。県内の中小企業では総務が経理も採用も広報も兼ねていることが多く、その一人が判断を抱えたまま日々の締めに追われて後回しになります。

実務で効くのは、統一ではなく「この作業はこっち」という持ち場の割り振りです。持ち場が決まっていれば、パートさんや入って半年の社員にも一言で説明できます。「お客様への文章はこちら、社内のドライブから資料を探すのはこちら」。この粗さで十分です。逆に、細かい機能差を全員に理解させようとすると誰も使わないまま終わります。

振り分けは3つの問いでほぼ終わる

社内の場面ごとに使うツールを振り分ける判断の流れを表したイメージ

どちらを開くかは、次の3つを問うだけでたいてい決まります。1つめは「その作業の材料がどこにあるか」です。材料が自分の頭の中にしかない仕事(挨拶文、企画のたたき台、社内向けの説明)なら、どちらでも大差ありません。材料がインターネット上にあるなら検索と地続きに動く側が向き、自社のGmailやドライブの中にあるなら、そこに近いツールが圧倒的に楽です。

2つめは「答えが1つに決まる仕事か、案を並べたい仕事か」です。関数の書き方や用語の意味のように答えが1つに近いものはどちらでもかまいません。お詫びの文面のように正解がない仕事は案を複数出させて選ぶ前提になるので、会話を重ねて詰めやすい側を持ち場にすると速くなります。

3つめは「出したいものが文章か、表か、絵か」です。文章はそのまま整えられますが、表計算や画像は得意不得意と手数の差がはっきり出ます。この3つを踏まえて5つの場面を振り分けたのが下の表です。

社内の場面持ち場にしやすい側判断の目印
文章づくり(案内文・お詫び・求人)どちらでも可。会話で詰めるならChatGPT案を3つ出させて選ぶ
情報の下調べ(制度・法令)検索と地続きのGeminiが入り口に向く出典URLを出させ一次情報で確認
社内資料の検索(見積・議事録)使っているクラウド側に寄せるGmailとドライブならGemini
Excelなどのオフィス作業関数はどちらでも可。表を読ませるなら添付が得意な側個人情報の列は消して渡す
画像づくり(POP・SNS素材)画像生成を持つ側。文字入れは後工程たたき台までと割り切る

文章づくり:白紙から書かせず、箇条メモから3案出させる

沖縄の会社で出番が多いのは、台風接近にともなう臨時休業と再開のお知らせ、船便の遅れで納品がずれることを県外の取引先へ伝える連絡、観光の繁忙期に向けた求人原稿、地域の行事に合わせた営業時間の案内といった場面です。どれも書けないほど難しくはないのに、言葉を選ぶのに時間がかかり、気が重い。だから後回しになる仕事です。

ここでの勘所は、白紙の状態から書かせないことです。「臨時休業のお知らせを書いて」と頼むと、どこの会社でも通じる無色の文章が返り、結局書き直しになります。そうではなく、決まっている事実を箇条のメモで先に渡します。休業する日と時間、再開の見込み、緊急連絡の窓口、迷惑をかける相手は誰か。そのうえで「取引先向けに固すぎない敬語で、3案」と頼むと、選んで直すだけの作業に変わります。一通15分かけていた文面が5分前後に収まり、仮に一日6通なら一か月で20時間以上手が空く計算です。

持ち場としては、やりとりを重ねて言い回しを詰めていく文章づくりはChatGPT側を既定にしている会社が多い印象です。自社の言葉遣いや署名の形式をあらかじめ覚えさせておけるので、二度目以降が速くなります。一方、Gmailで返信するだけの短い文なら、メールの画面の近くで下書きできるGemini側のほうが手数が少ない。文章の長さと、その後どこへ貼るかで分けると現場は迷いません。

情報の下調べ:答えをもらうのではなく、出典を出させる

下調べの出番は、県や市町村の支援制度の概要、業種ごとの許認可や表示のルール、県外の展示会の出展条件といった調べものです。ここはいちばん事故が起きやすい領域でもあります。生成AIはもっともらしい制度名や条件をすらすら書いてしまうことがあり、そのまま会議資料に貼ると前提が違って手戻りになります。

補助金や助成制度は特に慎重にしてください。要件や受付の期間、対象になる経費は制度ごとに違い、年度でも変わります。AIの回答は「どこを調べるべきかの当たりをつける」までにとどめ、可否や条件は必ず公式の募集要領や窓口で確認する。使える場合もあるが要確認、という姿勢を崩さないことです。

コツはひとつで、「参考にした公式ページのURLを3つ挙げて」と必ず添えることです。出典が出てこない、リンク先を開いてもその記述が見つからないなら、その回答は使わない。入り口としては検索と地続きに動くGemini側が向きますが、ChatGPTでも検索を使うモードにすれば同じ運用ができます。大事なのはツールではなく、出典を確かめる習慣を業務に組み込むことです。

社内資料の検索:どのクラウドを使っているかで自動的に決まる

5つの場面のうち、選択の余地がいちばん小さいのがここです。社内資料の検索は、日ごろ何にファイルを置いているかで決まってしまいます。GmailでやりとりしてGoogleドライブに見積書や議事録が溜まっている会社なら、同じGoogleのサービスの中にいるGemini側が近く、「先月あの会社に出した見積の条件は」といった聞き方ができます。Microsoft 365中心で資料がTeamsやSharePointに集まっているなら、そちらの系統のAIが素直です。ChatGPTは自分でファイルを渡す使い方が基本なので、探す資料が毎回違うと都度のアップロードが手間になります。

この場面が効くのは、数年前に一度だけ作った特殊な見積の書式、離島の現場だけで使っている作業手順、担当者が異動したあと誰も中身を知らないマニュアルを探すときです。こうした知識が特定の人の記憶とデスクトップにだけ残っていて、その人が休んだ日に業務が止まる会社は少なくありません。探せる状態にしておくこと自体が属人化の手当てになります。

ただし、社内資料をAIに読ませる話は他の場面と同じ気軽さでは進められません。顧客の個人情報、単価、人事に関わる書類が混ざっているためです。誰のアカウントで、どのフォルダまでを対象にするのかを決めてから広げてください。資料を横断して探せるところまで踏み込むなら、権限の設計が必要になります。この領域はAIエージェントの導入支援で、業務の流れに合わせて組み立てる話になります。

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Excelなどのオフィス作業:関数を聞くのと表を読ませるのは別の話

Excelなどの表計算作業を生成AIで効率化するイメージ

オフィス作業は、作り方を聞く使い方データそのものを読ませる使い方を分けて考えると混乱しません。

作り方を聞くほうは、どちらのツールでもほぼ同じように使えます。売上表から月ごとの合計を出す式、シフト表で深夜帯の時間だけを集計する式、複数のシートに散った得意先名を突き合わせる方法。関数名を知らなくても「こういう表があって、こう出したい」と日本語で書けば、式とその意味が返ってきます。手打ちの集計が一気に軽くなるので、経理や総務の担当者が最初に効果を感じやすいところです。

いっぽう、データそのものを読ませる場合は扱いに注意が必要です。売上のCSVをまるごと渡して傾向を見てもらう使い方は便利ですが、顧客名や連絡先、個人が特定できる列は消してから渡すのが原則です。集計に必要なのは日付と金額と分類だけ、という場面は意外に多い。渡す前に不要な列を削る、と社内の手順にしてください。月次業務をどう軽くするかは経理・総務を生成AIで効率化する記事で具体的に触れています。

なお、表計算ソフトの中でAIに直接手伝わせる機能はプランによって変わります。まずは「式と手順を教えてもらう」だけでも十分に効きます

画像づくり:たたき台までと割り切ると失敗しない

画像は、期待と現実のずれがいちばん大きい場面です。店頭のPOPやSNS投稿の背景、社内資料の挿絵には役立ちますが、そのまま印刷して配れる完成物が出てくると思って使うと必ず落胆します。特に日本語の文字は崩れやすいので、文字はあとから自分で載せる前提にすると無駄な作り直しが減ります。

落としどころは「素材とラフはAIで、仕上げは人の手で」です。県産の食材を使った新メニューの告知なら、雰囲気のある背景をAIで何枚か作り、文字と価格の表示は手元で載せる。会社案内やチラシの本番、看板のように長く使うものは、これまで通りデザイナーに頼むほうが結果的に早く収まります。AIで作るのは、頼む前に「こんな方向で」と見せるためのラフだと考えると、外注のやりとりまで速くなります。

気をつけたいのは権利まわりです。実在の人物や既存のキャラクター、他社のロゴを思わせるものを掲載するのは避けてください。観光地の風景を写真のように作った画像を「当店から見える景色」のように使うのも誤解を招きます。実際の店や商品の写真は自分で撮り、AIで作るのは背景や図解にとどめてください。

2つ以上を併用するなら、先に決めておくのは3つだけ

持ち場を分ければ、1社で2つのツールを使うことになります。悪いことではありませんが、放っておくと必ず散らかります。最低限、次の3つは先に決めてください。

1つめはアカウントの持ち主です。よくあるのが、担当者が自分の個人メールで登録してしまい、その人が辞めた途端に会話の履歴も設定も消える、あるいは支払いだけが個人のカードに残るケースです。会社のメールアドレスで作り、誰が管理者でどこに支払っているかを総務が把握しておくことです。

2つめは入れてよい情報の線引きです。顧客の氏名や連絡先、マイナンバーや給与、見積の単価、患者や利用者の記録は原則として入れない。迷うものは上長に確認する。紙一枚に書いて共有してください。入力した内容が学習に使われるかどうかは、サービスや契約の種類、設定によって違います。「大丈夫だと聞いた」で済ませず、使う予定のプランの設定画面と利用条件を実際に見て確認することです。

3つめは社内で聞く相手を1人決めておくことです。うまくいかない会社の多くは周知でつまずいています。機能を並べたマニュアルは読まれません。効くのは、場面別の表を一枚貼っておくことと、朝礼や定例で「今週これをAIに作らせて楽になった」という実例を一つ共有すること。人の口から出た成功例のほうが説明書より速く伝わります。慣れる速さは人それぞれなので、使わない人を責めないことです。そして3か月ほど回して持ち場を一度見直すと決めておけば、機能が変わっても運用が古びません。

まとめ:選ぶのは「勝っているツール」ではなく「持ち場の地図」

沖縄の中小企業が生成AIツールを選ぶとき、比較表の勝ち負けを追いかけても答えは出ません。決まるのは、文章づくりはどちらで、下調べはどちらで、社内の資料を探すのはどちらか——という場面ごとの持ち場を一枚の地図にしたときです。社内資料の検索のように、使っているクラウドで自動的に決まる場面もあります。

やることは多くありません。担当者が両方を少し触る。5つの場面を振り分けて紙に書く。入れてよい情報の線引きを一枚作る。3か月後に見直す。これだけで、「どっちがいいか」で止まっていた時間が、実際の作業が軽くなる時間に変わります。

とはいえ、社内資料の検索や権限の設計、業務の流れに組み込むところまで来ると片手間では難しくなります。当社では沖縄県内の企業向けに、業務に合わせたAI活用・AIエージェントの導入支援を行っています。どの場面から手をつけるかの整理だけでもかまいませんので、進め方に迷ったらお問い合わせからご相談ください。