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現場写真がスマホにたまる建設・設備会社へ|工事写真台帳をAIで当日中に

工事写真の整理は、現場が終わってから片づける仕事ではなく、撮った瞬間から始まっている仕事です。スマホの中に何百枚とたまってしまうのは撮影者の怠慢ではなく、撮る場面と台帳にする場面が時間的にも道具的にも切り離されているからで、そこをつなぐ役目ならAIに任せられます。結論から言えば、撮影・仕分け・コメント作成・提出前確認という一日の四つの場面のうち、AIに向くのは仕分けとコメントの下書き、人が手放してはいけないのは撮影そのものと最終確認です。写真の中身に手を入れる作業は、たとえ見やすくするためであっても改ざんの側に足を踏み入れるので、ここは道具の性能とは関係なく線を引く必要があります。この記事では、沖縄の建設・設備会社の一日を朝から追いながら、どの場面で何をAIに渡し、何を渡さないのかを具体的に見ていきます。

朝七時半、着工前の一枚が一日の整理コストを決める

着工前の現場をスマホで撮影する作業員のイラスト

那覇市内の改修現場に七時半に入り、養生を敷く前に着工前の写真を撮る。この最初の数枚が、その日の整理にかかる時間をほぼ決めてしまいます。よくあるのは、黒板を写し込むのを面倒がって「あとで分かるだろう」と現況だけを撮ってしまう場面です。撮った本人はその場では覚えているので困りません。困るのは夕方、十七時に事務所へ戻って三百枚を前にしたときで、玄関まわりの写真が着工前なのか施工中の一時状態なのか、本人ですら判別できなくなります。

ここでAIに手伝わせるとしたら、写真の中身ではなく撮影者の記憶の側です。現場に入る前に「今日は二階トイレの配管更新と一階廊下の内装補修。撮影必要箇所は着工前・配管接続部・隠蔽前・完了」と音声か短文で伝えておけば、撮り漏れの確認リストを作らせておくことができます。撮影の順番を組み立てるのも同様で、隠蔽部のように後戻りできない工程だけを先に洗い出しておくと、昼過ぎに「あそこ撮ったっけ」と手を止める回数が減ります。

逆に、この時間帯にAIへ渡してはいけないのが、黒板の代わりです。撮影日や工種を写真に後から重ねる、いわゆる電子小黒板の代替をAIの画像処理で済ませようとすると、それは撮影事実の記録ではなく生成物になります。国土交通省の要領でも民間工事の慣行でも、写真は撮影時点の状態を写したものであることが前提です。黒板が写っていないなら、撮り直すか、台帳側に文章で補足する。画像に文字を焼き込む処理をAIに任せる発想は、この時点で捨てておくのが安全です。

十時、撮りながら仕分けの手がかりだけを残しておく

午前中は作業が動きます。配管を切り回している最中に、いちいちアルバムを分けたりファイル名を直したりしている余裕はありません。だからこそ、この時間にやるのは仕分けそのものではなく、あとでAIが仕分けられるだけの手がかりを残すことです。

手がかりの残し方は、道具立てによって変わります。撮影後に三秒だけ画面を見て、その日の工区を示す短いメモを音声で吹き込む会社もあれば、工程が切り替わるたびに手のひらに書いた紙を一枚挟み撮りする会社もあります。沖縄の現場だと、梅雨時期や台風前後で外部作業が飛び飛びになり、同じ工種の写真が別の日に分散しがちです。この分散こそが後の仕分けを難しくする最大の要因なので、日をまたぐ工種には特に、区切りの一枚を意識して入れておくと後が楽になります。

AIに渡すのは、この手がかりと、撮影時刻・位置情報などファイルに元から入っている情報です。「十時二分から十時十四分までの写真は二階トイレの配管接続部」という対応づけができれば、あとは機械的な処理になります。ここで重要なのは、AIに写真を見せて工種を推測させるのではなく、人が残した手がかりを頼りに束ねさせるという順番です。写真だけを見て「これは配管接続部でしょう」と判断させると、似た絵柄の別工区が混ざったときに気づけません。判断の根拠を人の側に置いておくことが、後の確認作業を軽くします。

正午の休憩十五分で、その日の写真を粗く束ねてしまう

昼休みに車の中で弁当を広げながら、午前分の写真をクラウドへ上げる。この十五分を使えるかどうかで、夕方の重さがまったく変わります。午前の百枚を昼のうちに粗く束ねておけば、夕方に向き合うのは午後の百枚だけになるからです。

この場面でAIに渡す情報は、写真そのものと、午前に残した手がかりのメモ、そして工事の基本情報です。工事名、工期、工種の一覧、撮影が必要な箇所のリスト。これらは案件の立ち上げ時に一度作っておけば使い回せます。AIはこれらを突き合わせて、写真を工種ごとの束に分け、束ごとに「着工前」「施工中」「完了」といった段階の当たりをつけます。人がやるのは、束の見出しが合っているかを見て、明らかに外れている数枚を別の束へ動かすことだけです。

ここで一つ、はっきりさせておきたい線があります。似た写真が何枚も並んでいるとき、AIに「重複を削除して」と任せるのは避けたほうがいい。撮影者が念のために連写した二枚のうち、ピントが甘いほうにだけ写り込んでいる情報があることは珍しくありません。整理の目的は枚数を減らすことではなく、必要な一枚を取り出せるようにすることです。削除の判断は人が持ち、AIには「重複候補」として並べさせるところまでにとどめておく。この使い分けは、業務の中でAIをどこまで走らせるかという話全般に通じるもので、当社がAIエージェント導入の相談を受けるときにも最初に整理する論点です。

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十五時、隠蔽前の立会いと同時にコメントの素材を集める

午後は隠蔽前の確認が入ります。天井を閉じる前、埋め戻す前、仕上げを塗る前。この立会いのときに交わされる会話こそ、台帳のコメント欄に書くべき中身そのものです。「支持金物のピッチは一メートル、既存梁を避けて二か所だけ寄せた」といったやりとりは、その場では当たり前の情報として流れていきますが、夕方に文章化しようとすると細部が抜け落ちます。

だからこの場面では、写真を撮ると同時に、いま口にした説明を短く残しておく。三十秒の音声でも、単語の羅列でもかまいません。AIに渡すのはその断片と、対応する写真、そして工事の仕様書や施工計画書にある表現です。会社ごとに定着した言い回し——「所定の」「別紙による」といった書式の癖——を過去の台帳から拾って学ばせておけば、下書きの手直しが減ります。

ただし、AIが書けるのは見えている事実の記述までで、判断や評価は書かせないという区別が要ります。「配管の勾配を確保して施工」までは写真と説明から書けますが、「良好」「問題なし」といった評価は、それを書いた人が責任を負う言葉です。AIの下書きに評価語が混ざっていたら、人が読んで自分の言葉に置き換えるか、削る。この一手間を省くと、誰も判断していない評価が台帳に載ることになります。

触らせない範囲を、道具を選ぶ前に決めておく

ここまで場面ごとに触れてきた線引きを、一度まとめて確認しておきます。判断に迷ったときは、その処理が「撮影した事実の見せ方を変えているだけか」「事実そのものを変えているか」で分けると整理しやすくなります。

場面AIに渡してよいことAIに触らせない範囲
撮影撮影箇所の確認リスト作成、撮り漏れの指摘黒板情報の後付け合成、撮影日時の書き換え
仕分け手がかりと撮影時刻をもとにした束ね、命名案重複写真の自動削除、写真だけを見た工種の断定
コメント作成立会い時の説明と仕様書に基づく事実記述の下書き良否の評価、数値の推定、確認していない事項の補完
提出前確認抜けの洗い出し、様式との突き合わせ不足写真の生成・代替、明るさ以外の画像加工

明るさやコントラストの補正については、程度問題として扱われることが多い領域です。暗い天井裏の写真を見えるように起こす程度は実務上許容される場面もありますが、発注者や工事の性格によって考え方が違います。判断が分かれるものは自社で決めずに、その工事の監督員や元請に確認する。AIを入れるかどうかとは別の話として、社内でどこまでやるかを一度決めておくと、担当者ごとのばらつきがなくなります。

十七時、事務所に戻ってからの一時間で台帳の形にする

事務所で写真を束ねて台帳の下書きを確認するイメージのイラスト

現場から戻り、その日の写真を台帳の様式に流し込む。従来はここに二時間近くかかっていた会社も少なくありません。並べ替え、リネーム、貼り付け、コメント記入。単純作業の連続なので、疲れている時間帯にやると抜けも増えます。

昼と現場で手がかりを残してあれば、この時間の作業は「AIが作った下書きを人が読む」だけになります。束ごとに並んだ写真と、その下に入ったコメントの案。読みながら、事実と違うところを直し、評価語を自分の言葉に置き換え、抜けている箇所に印をつける。読む速度で進むので、三百枚でも一時間を切る現場が出てきます。翌朝の撮影計画に反映できる点も大きく、その日のうちに「トイレの完了写真が一枚足りない」と分かれば、翌朝の着工前に撮り足せます。日をまたいでから気づくと、もう手戻りができません。

沖縄の会社でこの流れを組むときに引っかかりやすいのが、現場と事務所のあいだの通信です。離島や北部の山手では、昼にクラウドへ上げる前提が崩れることがあります。その場合は昼の束ね作業を後ろにずらし、帰社してから一括で処理する形に切り替える。仕組みを一つに固定せず、通信が使える現場と使えない現場で二通り持っておくほうが現実的です。

提出前の最終確認だけは、人が一枚ずつ見る

台帳ができあがったら、提出前にもう一度通して見ます。この最終確認は、どれだけAIが賢くなっても人の手元に残る作業です。理由は精度の問題ではなく、責任の所在の問題だからです。提出物に署名するのは会社であり担当者であって、下書きを作った道具ではありません。

とはいえ、確認の材料はAIに用意させられます。撮影が必要な箇所のリストと台帳を突き合わせて足りない工種を挙げる、同じ写真が二か所に使われていないか調べる、様式の必須欄が空いていないか見る。こうした機械的な照合は取りこぼしが少なく、人が見るべきところを絞ってくれます。人はそこで浮いた時間を使って、写真とコメントが本当に対応しているか、その日の記憶と照らして見る。沖縄の中小企業でAIをどう使うかという話の中でも、確認を人に残す設計は繰り返し出てくる考え方です。

もう一つ、確認の場面で気をつけたいのが、足りない写真への向き合い方です。撮り忘れた箇所を、別の日の似た写真で埋める。角度の違う写真を加工してそれらしく見せる。生成で補う。どれも、その場では辻褄が合ってしまうだけに危うい選択です。撮っていないものは撮っていないと報告して、指示を仰ぐ。撮り直しが利くなら撮り直す。この一点だけは、業務効率の話とは切り離しておく必要があります。

導入は、写真の運用ルールを言葉にするところから

実際に何から手をつけるかというと、AIツールの選定より前に、自社の写真運用がどうなっているかを言葉にする作業です。誰が撮り、どこに置き、誰が台帳にして、誰が確認して出しているか。多くの会社では、これが人によって違います。ベテランは黒板をきちんと入れるが若手は入れない、Aさんは日付フォルダで管理するがBさんはアルバム機能を使う、といった具合です。

この違いを揃えないままAIを入れると、手がかりの残り方がばらばらなので束ね方も安定せず、「使えない」という結論になりがちです。逆に言えば、撮影の作法と手がかりの残し方さえ揃えば、AI側の設定はそれほど複雑になりません。まずは一つの現場、一人の担当者で二週間試し、そこで固まった作法を他の現場へ広げる。この順番のほうが、全社一斉に切り替えるより定着します。

費用や期間については、対象とする現場の数、既存の台帳ソフトとの関係、写真の保管場所をどうするかで大きく変わるため、一般論では言いにくいところです。既にお使いのソフトを残したまま前段の仕分けだけを自動化する形もあれば、保管から作り直す形もあります。具体的な進め方のご相談は、いま何枚くらいたまっていて、誰が困っているかをお聞かせいただくところから始めさせていただいています。

まとめ

工事写真の整理が終わらないのは、撮る作業と台帳にする作業のあいだが空いているからです。朝の撮影計画、午前の手がかり、昼の粗い束ね、午後の立会いメモ、夕方の下書き確認と、一日の流れの中に小さく分けて置き直せば、夜にまとめて格闘する必要はなくなります。AIが担うのはこのつなぎ目——束ねること、下書きを作ること、抜けを洗い出すことであって、撮ることと最終的に責任を持って確認することは人の側に残ります。

そして、写真そのものに手を入れる処理は、便利さの誘惑が大きいぶん、最初に線を引いておくべき領域です。足りない写真は生成で埋めない、撮影事実に関わる情報は後付けしない。この二つを社内の共通認識にしたうえで、仕分けとコメントの下書きを機械に任せる。順序としてはこれが安全で、結果として当日中に台帳が出せる体制に近づきます。まずは一現場、二週間から試してみてください。