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保育園のおたより・連絡帳をAIで15分に|沖縄の園が続けられるやり方

AI活用

保育園の書きもの業務は、ぜんぶをAIに任せると事故が起き、ぜんぶを手で書けば担任の負担が減りません。線引きはひとつで、「誰が読んでも同じ意味になる部分」はAIに下書きさせ、「その子を知っている人にしか書けない部分」は保育士が自分の言葉で書く。この分け方なら、夕方に一時間かけていた月のおたよりが15分の「直し作業」に変わります。沖縄県内の園なら、台風休園の連絡や旧盆前後の預かり調整のように毎年似た文面を書き直す場面ほど効きます。この記事では園の書きものを おたより/連絡帳/行事のしおり/一斉連絡 の4つに分け、それぞれどこまでAIに触らせるかを対で示します。

まず押さえる:書きもの業務は4つに分かれていて、AIの入れ方も別々

園の書きもの業務を4種類に分け、それぞれAIが担う部分と保育士が書く部分を対で示した概念図

「保育園の書類をAIで」とひとまとめに語られがちですが、園で発生する文章は性質が違います。月のおたよりは大勢に向けた読み物で、季節の挨拶・保健の注意・行事予定という定型部分が半分以上を占めます。連絡帳は特定の一人に向けた記録で、その子の様子そのものが本体です。行事のしおりは手順と持ち物の説明書で、抜けや矛盾があると当日に問い合わせが集中します。一斉連絡は時間に追われる通知で、正確さと速さが同時に要ります。

4つを同じやり方で投げると必ず無理が出ます。連絡帳をAIに書かせれば子どもの情報を入力することになり、園として守るべき線を越えます。逆に一斉連絡を毎回手で書いていると、台風接近の夜に主任が一人でスマホをにらむことになります。最初に決めるのはツールではなくどれからAIを入れるか。着手順は 一斉連絡 → 行事のしおり → おたより → 連絡帳 が安全です。前の二つは定型が強く、個人情報をほとんど扱いません。

おたより:季節の書き出しと保健コーナーはAI、クラスの様子は担任の言葉

おたよりで時間を食うのは「クラスの様子」ではなく冒頭の書き出しです。八月なら暑さと水分補給、十月なら朝夕の涼しさ、二月なら進級への期待。毎年同じことなのにゼロから考えるので筆が止まります。ここはAIに「沖縄の九月、まだ暑さが続く時期の保育園おたよりの書き出しを、丁寧すぎない口調で三パターン」と頼めば数秒で候補が出ます。一つ選んで園の言い回しに直せば終わりです。

保健コーナーや食育のひとことも同じで、手足口病が増える時期の注意喚起や水分と塩分の摂り方といった一般的な内容は、AIの下書きを主任が事実確認する流れが向きます。ただし感染症の流行状況や受診の目安といった医療寄りの記述は、AIの文章をそのまま載せない。県や市の保健情報、園医の助言に照らして書き換えるか削ってください。ここを面倒がると、AIの一般論が園の公式見解のように読まれます。

一方、担任が必ず自分で書く部分もはっきりしています。クラスの子どもたちの姿、続いている遊び、けんかのあとに自分たちで折り合いをつけた場面。これはAIには書けませんし、書かせてはいけない。書かせるには子どもの様子を入力する必要があり、その時点で外部サービスに園児の情報を渡すことになります。担任が書く分量は四百〜五百字で十分。「全体を七十分かけて書く」から「五分でAIに下書きさせ、十分で自分の言葉を足す」へ変わるのが、この分け方の一番の効果です。

連絡帳:AIは「言い換えの相談相手」まで。子どもの情報は入れない

連絡帳は4つのなかで最もAIを入れにくい領域です。内容そのものが個人情報だからで、「今日は〇〇ちゃんがはじめて鉄棒に手を伸ばして」の一文のためにAIを使えば、氏名と発達の様子を入力することになります。園の個人情報の扱いとして避けるべきです。

ただ出番がないわけではなく、使いどころは「書き方に迷ったときの言い換え相談」です。少し伝えにくいことを責める調子にせず書きたいとき、氏名も具体的な様子も入れずにこう聞きます。「保育園の連絡帳で、朝の登園時刻が遅れがちなご家庭に、責める調子にならず生活リズムの相談として伝える書き方を、二パターン教えてください。子どもの名前や具体的な状況は含めずに、型だけ示してください」。返ってくるのは「お子さんの様子」「〇〇の時間」といった空欄まじりの型で、そこを担任が自分の手で埋める。この順番ならAIに個人情報は一切渡っていません。

もう一つは書き終えたあとの読み返しですが、入力の仕方に工夫が要ります。丸ごと貼らず、氏名を「A児」に、園名を伏せ、日付や出来事を一般化してから「この文は保護者に硬く読まれませんか」と聞く。心配なら主任に見てもらうのが確実です。連絡帳におけるAIは表現の相談相手であって、記録の代筆者ではありません。

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行事のしおり:構成と持ち物リストの下書きはAI、当日の判断は園が書く

運動会、生活発表会、遠足、卒園式。しおりは毎年つくり直しますが骨格は変わりません。日時と場所、当日の流れ、持ち物、駐車場と送迎、雨天時の対応、写真撮影のお願い。「保育園の運動会のしおりに入れるべき項目を、保護者が当日困らない順に並べてください」と聞けば、園が忘れがちな項目まで含んだ一覧が出ます。そこから合わないものを削るほうが、白紙から考えるより早く、しかも漏れません。

持ち物リストの文章化もAIが速い分野です。「水筒、帽子、着替え一組、汗ふきタオル」という羅列を渡して「保護者が読んで迷わないよう、それぞれ一行の補足をつけて書き直してください」と頼むと、「水筒(多めに。中身は水かお茶でお願いします)」の形に整います。沖縄の屋外行事なら、日差し対策や急な降り出しへの備えを一行足すだけで問い合わせが減ります。

反対に園が必ず自分で書くのは判断が入る部分です。雨天中止をいつ誰がどう連絡するか、駐車場が満車のときどうするか、体調がすぐれない場合の参加の線引き。その園の事情と方針そのもので、一般的な文例を当てるとかえって混乱します。AIが「前日十八時までに判断してお知らせします」と書いても、実情が当日朝の判断なら意味がありません。しおりの中で「AIが書いた一般論」と「園が決めたこと」が混ざるのが一番危ないので、判断が絡む段落だけ色を変えて確認漏れを防ぐ園もあります。

保護者への一斉連絡:型文をあらかじめ作っておき、当日は数字を入れるだけ

事前に用意した型文の空欄を埋めるだけで一斉連絡を送る流れを表したイラスト

台風接近で明日の休園を判断した夜、主任が文面を考えはじめる——県内の園でいちばん改善しやすい場面です。急いでいるときの文章はどうしても抜けが出ます。休園は決めたが預かりの扱いを書き忘れる、給食の有無に触れていない、再開の判断をいつ知らせるかが書かれていない。翌朝、同じ質問の電話が何本も鳴ります。

AIを使うのは当日ではなく事前です。落ち着いているときに、台風による前日判断の休園、当日朝の急な休園、感染症でのクラス閉鎖、行事の雨天中止、設備不具合で午前保育に切り替える場合——想定される場面の型文を作らせておきます。「保育園から保護者への一斉連絡文を、空欄つきの型として作ってください。日時・対象クラス・給食の有無・次の連絡の時刻を空欄にしてください」と頼めば、埋めるだけの文面ができます。当日は数字と対象クラスを入れ、主任が読み直して送信。ここまで一、二分です。

書きものAIに下書きさせる部分保育士が必ず書く部分
月のおたより季節の書き出し、保健・食育の一般的な話題、行事予定の言い回しクラスの子どもたちの姿、担任からのひとこと
連絡帳言い換えの型(氏名・様子は入れない)、伝え方の相談その子の様子、家庭からの相談への返答すべて
行事のしおり項目の並び、持ち物の補足文、注意書きの叩き台雨天や欠席の判断基準、駐車場や受付の運用
一斉連絡場面ごとの型文(事前に作りだめ)日時・対象・給食の有無などの事実、送信の最終確認

表にすると単純ですが、この境界を園内で共有しているかで結果が変わります。曖昧なままだと、ある職員は連絡帳までAIに入れ、別の職員は一斉連絡すら手書きし続けます。

子どもの様子と氏名を入れない書き方の、具体的な言い回し

「個人情報を入れない」と決めても、いざAIに向かうと手が止まります。実際の入力例を持っておくのが早いので、園でよく起きる三つの場面を挙げます。

ひとつ目、おたよりでクラスの様子を書く導入に迷ったとき。「保育園の三歳児クラスのおたよりで、砂場での遊びが続いている時期に、担任が様子を書きはじめる導入の一文を三つ。具体的な子どもの名前や個別の出来事は含めず、書き出しの型だけ」。返ってきた型のあとに、担任が実際の場面を自分の言葉で続けます。

ふたつ目、保護者からの相談に返す文の調子を整えたいとき。「保育園の連絡帳で、家庭での食べ残しを心配する相談に、園でも様子を見ながら一緒に考えたいという姿勢で返す書き方の型を二つ。子どもの氏名・年齢・具体的な状況は含めないでください」。中身は担任が埋めます。

三つ目、行事後のお礼文。「保育園の行事後に保護者へ送るお礼の一斉連絡文の型。行事名と日付は空欄で。園の名前は含めないでください」。行事名も空欄にしておけば、どの行事にも使い回せます。

共通するコツは「型を作らせて、中身は人が埋める」の一点です。AIに事実を教える必要はなく、文章の骨と敬語の調子だけもらえば十分です。判断に迷う入力があれば個別のご相談として持ち込んでいただくのが確実です。園の規模や既に使っている連絡アプリによって、どこまで踏み込めるかは内容によります。

担任が交代しても続くように:型文を園の資産として置いておく

AI活用が続かない一番の理由はツールの難しさではなく、やり方が一人の頭のなかにしかないことです。若手の先生がAIで月のおたよりを短時間で仕上げていても、その先生が異動すれば翌年には元に戻ります。四月に担任が変わる職場では、これがほぼ毎年起きます。

だから残すのは入力文そのものではなく出てきた型文です。休園連絡の型、しおりの項目一覧、季節ごとの書き出し候補、連絡帳の言い換えの型。これらを職員が誰でも開ける場所に、書きもの別のフォルダで置きます。共有ドライブでも連絡アプリのメモ欄でも構いません。大事なのは「探せば必ずある」状態で、そうなれば新しい担任は型を開いて中身を埋めるところから始められます。

置き方にも工夫の余地があります。ファイル名を「おたより_九月_書き出し候補」のように場面と月で並べると翌年迷いません。園が判断すべき箇所は【 】で囲うと埋め忘れが減ります。年度末に使わなかった型を消し、実際に使った型だけを残せば、量が増えすぎて誰も開かない状態を避けられます。

もう一つ効くのは型を直した人がその場で更新するという決めごとです。台風連絡の型に「バス運行の有無」を足したい人が、その場で足す。承認を待つ運用にすると更新が止まり、半年で使われなくなります。園長・主任は月に一度目を通す程度でよく、細かい管理は求めないほうが続きます。この考え方は書類作業以外の業務にも広げられます。AIエージェント活用の考え方も、結局は「人が判断する部分をどこに置くか」を決めることに尽きます。

導入のつまずきを先に潰しておく:園でよく詰まる三か所

使いはじめると決まった場所で止まります。ひとつは「AIの文章が園らしくない」問題です。全国どこの園でも通る文章なので、その園の言い回しから浮きます。型文をつくる段階で、すでに配ったおたよりの言い回しに合わせて直しておけば解決し、手間は初回だけです。

ふたつめは職員間の温度差です。抵抗のある職員がいる園でいきなり全員に使わせると反発が出ます。まず主任か事務が一斉連絡の型づくりだけを担い、「文面を考える時間が減った」という結果を先に見せるほうが早い。おたよりや連絡帳に広げるのはその後でよく、抵抗のある職員は従来のやり方のままで構いません。全員が同じやり方をする必要はないのが、この分け方の利点です。

三つめは入力してよい情報の線引きが人によってずれることです。口頭の申し合わせでは揃いません。「氏名・生年月日・写真・診断や発達に関する記述・家庭の事情は入力しない」と紙に書き、AIを使う端末の近くに貼るくらいの物理的な措置が確実です。迷ったら入力しないという原則を先に決めておけば、迷った人が止まれます。具体的な運用のご相談は園の状況を伺ったうえで整理するのが早いはずです。

まとめ:分けて考えれば、AIは保育の言葉を奪わない

保育園の書きものをAIで軽くする話は、ツール選びではなく「どこまでAIに触らせるか」を決める話です。おたよりは季節の書き出しと保健の話題をAIに、クラスの姿は担任に。連絡帳は言い換えの相談相手までにとどめ、子どもの様子は必ず自分の手で。しおりは項目の並びと持ち物の補足文をAIに、判断の基準は園が。一斉連絡は落ち着いているときに型文を作りだめし、当日は数字を入れるだけ。この線引きを園内で共有し、型文を誰でも開ける場所に置く。ここまでやれば、担任が交代しても翌年また同じ苦労を繰り返しません。

忘れないでほしいのは、削っているのは保育の言葉ではなく、毎年同じことを考え直す時間だということです。子どもの姿を書く時間は減らさない、定型部分が片づいた分だけ増える。それが目指す形です。どこから手をつけるか迷ったら、園の状況を伺ったうえで一緒に整理させてください。