沖縄セールスパートナー株式会社

BLOGブログ

ケアプランの見直しが後回しになるケアマネへ|モニタリングの記録からAIで変更案を

AI活用

ケアプランの見直しを後回しにしがちなケアマネジャーに、先に結論を書きます。「見直すかどうかの判断」ではなく、「判断の材料をそろえる書き物」をAIに下書きさせると、見直しに手が付けやすくなります。毎月のモニタリング記録には、本人の小さな変化や家族がふと漏らした一言がきちんと残っています。けれども、それをプランの言葉に直し、変更案の形に整え、担当者会議の案内を出すまでには、書き直しと転記がいくつも挟まります。月末の給付管理や新規の相談と重なると、その手間ごと翌月に回ってしまう。そんな事業所は少なくないはずです。

この記事では、居宅介護支援の1か月を「訪問前」「訪問と記録」「見直し案づくり」「サービスの検討」「担当者会議の案内」の順に追っていきます。工程ごとに、AIに下書きを任せられる部分と、本人・家族の意向やサービス事業所選びのように人が決める部分を分けて整理します。想定しているのは沖縄の小規模な居宅介護支援事業所です。車での移動が長い地域や、家族が本土に住んでいるケースなど、現場でよくある場面も交えて書きます。

見直しが「来月でいいか」になってしまう本当の理由

見直しが遅れるのは、ケアマネ個人がさぼっているからではありません。多くの事業所では、モニタリング記録とケアプランが別々の書式で管理されています。そのため、記録に書いた内容をプランの言葉に「翻訳」し直す作業が毎回発生します。たとえば記録には「最近、朝の着替えに時間がかかる。娘さんが出勤前に手伝っているが、負担を口にしていた」と書いてあるとします。プランに反映するには、これを課題・長期目標・短期目標・サービス内容の枠に合わせて書き換えなければなりません。この翻訳は頭の中でしかできないので、まとまった時間が取れる日まで先送りになるのです。

もうひとつ、沖縄の居宅ケアマネは移動時間が長くなりがちです。本島北部や中部の郊外、離島を担当していれば、一件の訪問に往復で一時間以上かかることもあります。事務所に戻って記録を清書し、プランの検討に入るころには夕方を過ぎている。生成AIが役に立つのは、この「翻訳」と「清書」の部分です。判断そのものではなく、判断の手前にある書き物の量を減らすことで、見直しに早く着手できるようになります。県内の中小企業でのAI活用の全体像は沖縄の企業のAI活用についての記事でもまとめています。

月初、訪問の前に:前回までの記録をAIに読み返させる

訪問の前に過去のモニタリング記録をAIで要約し、確認したいことを整理するケアマネジャーのイメージ

1か月の流れは訪問の準備から始まります。担当している利用者が三十人前後いれば、前回の訪問で何を話したか、どのサービスで何が起きていたかを毎回思い出すのは大変です。ここでAIに任せたいのは、過去数か月分のモニタリング記録を読ませて、「今回の訪問で確認したいこと」の候補を出してもらう作業です。たとえば「三か月前から歩行器を使い始めたが、デイサービスからの報告では屋内で使っていない日がある」「長男さんが年末に帰省予定と話していた」のように、気にかけておきたい点を拾い出させます。

頼み方にも少しコツがあります。「直近三か月分の記録を読んで、前回から変わったこと、引き続き確認が必要なこと、家族の予定や事情に関することを、それぞれ三つ以内の箇条書きにして」のように、出してほしい項目と量を先に決めて伝えます。こうすると、出てきた結果がA4一枚のメモに収まり、訪問カバンに入れて車の中で見返せる分量になります。サービス事業所からの実績報告や、ヘルパーの連絡ノートの写しもあわせて読ませると、記録だけでは見えにくい生活の様子まで拾いやすくなります。

ただし、何を確かめに行くかを最終的に決めるのはケアマネ自身です。AIの要約は、記録に書いてあることしか拾えません。玄関先の様子が気になっていた、電話口の声がいつもと違ったといった、記録に残していない感覚は人の側にしかありません。AIが出した候補に自分の気がかりを書き足し、訪問の目的をひとつかふたつに絞る。この順番で使えば、準備の時間を短くしながら、訪問の中身は薄くなりません。

訪問の日:聞き取りメモからモニタリング記録の下書きを起こす

訪問中は、記録用紙を埋めるより本人や家族の話を聞くことを優先したいところです。そこで、訪問中はキーワード程度の手書きメモやスマートフォンの音声メモにとどめ、事務所に戻ってからAIに「モニタリング記録の書式に沿って整えて」と頼むやり方があります。目標の達成状況、サービスの利用状況、本人・家族の満足度、新しい課題の有無といった項目ごとに、メモの内容を振り分けてもらうイメージです。

移動の長い地域では、訪問先を出て車に戻ったら、運転を始める前の五分間で見聞きしたことを音声メモに吹き込んでおくと便利です。記憶が新しいうちに話した内容は、事務所に戻ってから思い出して書くより具体的になります。一方で、血圧や体重などの数値、受診日、薬の名前は、音声の聞き取りやAIの整理で取り違えが起きやすい部分です。下書きの段階では空欄にさせておき、お薬手帳や記録票の原本を見ながら自分で書き入れる、と決めておくと安心です。

沖縄では、高齢の利用者がうちなーぐち混じりで話すことも珍しくありません。「なんくるないさ」と笑っていても、実は夜間のトイレに不安を抱えている、ということもあります。AIは言葉の表面を整えるのは得意です。しかし、その言葉の裏にある本音を読み取り、記録に残すかどうかを決められるのは、その場にいたケアマネだけです。下書きが出てきたら、「本人の言葉」と「ケアマネの見立て」が混ざっていないかを必ず確かめ、本人の発言は本人の言い回しのまま残しておきましょう。記録が正確であることが、あとで見直しを行う根拠になります。

記録がそろったら:プランとのずれ探しと変更案の文案をAIに

月の後半、何人分かのモニタリング記録がそろったら、プランの見直しに入ります。ここでAIに頼みたいのは、直近の記録と現行のケアプランを並べて読ませ、プランの目標やサービス内容と、記録に表れている実態との「ずれ」を指摘させることです。先ほどの着替えの例なら、「短期目標に『身支度を自分で行う』とあるが、直近二か月は家族の介助が増えている。目標の表現か支援内容を見直す必要があるかもしれない」というように、ずれと見直しの方向を文章にしてもらえます。

ずれの指摘は、「目標」「サービスの種類」「回数や時間」「本人・家族の発言」の四つの観点で表にさせると見比べやすくなります。あわせて、担当している利用者のうち短期目標の期間が二か月以内に切れる人や、認定の有効期間が近い人を一覧にさせておけば、どの利用者から手を付けるかの順番も決めやすくなります。期限が迫ってから慌てて見直すのではなく、月の後半に数人ずつ前倒しで進められるようになるのが、この工程でAIを使ういちばんの効果です。

そのうえで、変更後の課題・目標・サービス内容の文案をいくつか出させます。大事なのは、AIの文案をあくまで「たたき台」として扱うことです。目標の言葉は、本人が聞いて「そうしたい」と思えるものでなければ意味がありません。「安全に入浴できる」より「週に二回は湯船につかって、孫の運動会に元気な顔で行きたい」のほうが本人に響くなら、そちらを選ぶのはケアマネと本人の対話です。AIの役割は、その対話に持っていく材料を早くそろえるところまでと考えてください。

1か月の工程ごとに役割分担を並べると、次のようになります。

工程AIに下書きさせること人が決めること
訪問前の準備過去記録の要約、確認したいことの候補今回の訪問の目的、記録にない気がかりの追加
訪問・モニタリング記録メモを書式の項目に振り分けた下書き本人の言葉の残し方、ケアマネとしての見立て
プランの見直し記録とプランのずれの指摘、目標・サービス内容の文案見直すかどうか、目標の言葉を本人と決める
サービスの検討選択肢の整理、比べるときの観点事業所の選定、本人・家族の意向の確認
担当者会議の案内案内文・照会文・議題案の下書き日程調整の優先順位、会議で何を合意するか

あわせて読みたい

個別支援計画の作成が追いつかない障害福祉事業所へ|面談メモからAIで原案を 個別支援計画の作成が追いつかない障害福祉事業所へ|面談メモからAIで原案を関連する話題をこちらでも解説しています。

サービスを変えるかどうかは、地域を知る人が決める

本人・家族と話し合いながら、地域の事業所からサービスを選ぶケアマネジャーのイメージ

見直しの中で、AIに任せにくいのがサービスの選定です。AIに「通所介護の回数を増やすか、訪問介護を足すか」と聞けば、一般論として両方の利点は並べてくれます。しかし、その地域にどんな事業所があり、空きはあるか、送迎はどこまで来てくれるか、本人がそのデイの雰囲気になじめそうか。こうしたことは、日ごろ事業所とやり取りしているケアマネの頭の中にしかありません。

沖縄では、同じ市町村の中でも事業所の数に偏りがあったり、離島では選べるサービス自体が限られていたりします。家族の事情も大きく関わります。たとえば、長女が那覇で働いていて日中は本人がひとりになる家庭と、近所に親戚が多く模合仲間が様子を見に来てくれる家庭とでは、状態が同じでも必要な支援は変わります。こうした事情をくみ取ってサービスを組み立てるのは人の仕事です。AIには「選択肢を比べるときの観点」を挙げさせる程度にとどめましょう。どこに頼むか、本人と家族が納得しているかは、必ず電話や訪問で直接確かめてください。

担当者会議の案内づくりは、AIに任せやすい定型の書き物

見直しの方向が固まったら、サービス担当者会議の段取りに入ります。ここは文面を作る量が多い工程で、AIの下書きが特によく効きます。各事業所への開催案内、主治医への照会文、会議の議題案、欠席する事業所への意見照会などは、利用者ごとに中身は違っても型はほぼ同じです。変更案の要点をAIに渡し、「通所介護事業所向けの案内文を、変更点がひと目で分かるように」と頼めば、送る直前に近い文案がすぐに出てきます。

主治医への照会文は、聞きたいことを二点ほどに絞り、回答を書き込める欄を設けた書式にしてもらうと、外来の合間でも返信をもらいやすくなります。「入浴時に気をつけることはありますか」「通所の回数を増やすことに医学的な支障はありますか」のように、はい・いいえで答えられる問いと短い記述欄を組み合わせる形です。会議が終わったあとの要点の記録も、当日のメモを渡せば下書きを作らせることができます。決まったこと、持ち越したこと、各事業所の役割を分けて書かせると、後から読み返しても経緯が追いやすくなります。

家族が本土に住んでいて電話やオンラインで参加してもらう場合の案内文も、あらかじめ作らせておくと手間が減ります。一方で、どの事業所の都合を優先して日程を組むか、会議で何を合意するかは、ケアマネが決める部分です。会議の場では、本人と家族が自分の言葉で意向を話せるように進めることが何より大切で、AIが作った議題案はその進行を助ける補助線にすぎません。案内文を早く出せれば日程調整の往復が減り、会議が月をまたいでしまうことも少なくなるはずです。

利用者の情報をAIに渡す前に、事業所で決めておくこと

ここまでの使い方は、どれも利用者の情報をAIに入力することが前提です。使い始める前に、事業所として最低限のルールを決めておく必要があります。氏名・住所・被保険者番号などは入力せず、「Aさん」「80代女性」のように置き換えてから使う。入力した内容が学習に使われない設定や契約になっているサービスを選ぶ。法人として使ってよいツールを決め、個人のスマートフォンの無料版で済ませない。こうした点を管理者と相談し、文書にしておくと安心です。

氏名を伏せるだけでは足りない場面もあります。小さな集落や離島では、「○○区に住む90代の元漁師で、娘が那覇の病院勤め」といった情報の組み合わせだけで、地域の人には誰のことか分かってしまいます。地名は「北部の集落」「離島」程度にぼかし、病院名や事業所名などの固有名詞も伏せる。AIの下書きを記録に写すときに、伏せた部分を自分で戻す。この一手間を事業所の決まりとして全員がそろえておくことが大切です。

また、AIの下書きをそのまま記録やプランにするのではなく、必ずケアマネが読み直し、自分の判断で確定させる手順も明文化しておきましょう。記録の責任は、あくまで作成したケアマネにあります。個人情報の扱いや、どこまでをAIに任せるかの線引きは、事業所の規模や体制によって変わり、一律の正解はありません。自社の業務に合わせた仕組みづくりの考え方は、AIエージェント導入支援のページでも紹介しています。

まとめ:見直しを「月末の宿題」から「月の流れの一部」へ

ケアプランの見直しが後回しになるのは、記録とプランのあいだにある書き直しの手間が、忙しい月にまとめてのしかかるからです。訪問前の要約、訪問後の記録の下書き、記録とプランのずれの指摘、担当者会議の案内文。各工程の書き物を少しずつAIに渡していけば、見直しは月末の宿題ではなく、毎月の流れの中に組み込めるようになります。

いきなり全部の工程で使う必要はありません。最初の一か月は、担当者会議の案内文のように個人情報が少なく型の決まった書き物から試し、慣れてきたら記録の下書き、ずれの指摘へと広げていく進め方が無理なく続きます。

一方で、本人と家族の意向を聞くこと、目標の言葉を一緒に選ぶこと、地域の事業所からサービスを選ぶことは、これまでどおりケアマネの仕事として残ります。AIで浮いた時間をその対話に回せるかどうかが、導入がうまくいくかの分かれ目です。沖縄セールスパートナーでは、県内の中小企業や介護事業所からの、業務の流れに合わせたAI活用のご相談をお受けしています。どこから手を付けるか迷っている段階でも構いませんので、お問い合わせフォームからお気軽にご連絡ください。