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デイサービスの送迎表づくりに毎朝1時間|欠席の連絡が来てもAIで組み直す

デイサービスの送迎表は、前日の夕方にできあがっていても、翌朝の電話一本で組み直しになります。「今日は熱があるので休みます」「病院に寄るので、迎えを30分遅らせてほしい」。そのたびに、誰がどの車でどの順番に回るかを考え直します。ホワイトボードを書き換え、運転手さんに伝え直します。この作業に毎朝1時間近くかかっている事業所は少なくありません。

結論から言うと、この組み直しはAIに「たたき台」を作らせることで短くできます。ただし、AIに任せるのは順番と車両の組み合わせの候補づくりまでです。その方を乗せてよいか、その順番で無理がないかの最終判断は人が持ちます。この記事では、送迎担当の朝を時刻順に追います。欠席・時間変更・車いす対応のどこで組み直しが起きるのか、AIにどんな形で情報を渡すのか、人がどこで目を通すのかを順に説明します。

朝7時、送迎表はまだ「昨日の形」をしている

朝の事業所で送迎表のホワイトボードを確認する送迎担当者と送迎車両

送迎担当の方が事業所に着くのは7時前後でしょうか。机の上には前日に作った送迎表があります。1号車から3号車まで、迎えの順番と予定時刻が並んでいます。ただ、この時点の表は「全員が予定どおり来る」前提で作られています。

沖縄のデイサービスでは、利用者さんの家が集落の奥や坂の上にあることがよくあります。幹線道路から一本入ると、車がすれ違えない道も珍しくありません。表を作る人の頭の中には、紙に書かれていない知識がたくさん入っています。「この家はワゴンだと入れないから軽で」「この方は玄関に段差があるので職員二人で」といったことです。そのため、送迎表づくりは特定の一人に偏りがちです。その人が休んだ日は、ほかの職員が同じ表を作るのに倍の時間がかかる、という話もよく聞きます。

7時台はまだ落ち着いています。運転手さんの出勤確認、車両の燃料、車いす用リフトの動作確認。このあたりは毎日ほぼ同じ流れで進みます。表が崩れ始めるのは、この少し後です。

7時半から8時、欠席と時間変更の電話が重なる

ご家族やケアマネジャーからの連絡は、7時半から8時ごろに集中します。「母が夜中に吐いたので、今日はお休みします」という欠席の電話が一本入ったとします。その方を表から外すだけでは済みません。その方の家が1号車のルートの途中にあれば、後ろの人の迎え時刻が前倒しになります。ところが、早まった時刻に次の家の方の準備ができているとは限りません。結局、何軒かに「少し早く着きますが大丈夫ですか」と電話をかけることになります。

時間変更は、さらに手間がかかります。「通院があるので10時に迎えに来てほしい」と言われると、その方は通常の便に乗れません。2便目を出すのか、別の車両の帰り道に組み込むのかを考える必要があります。急な追加利用や体験利用が入れば、定員と車両の空き座席を照らし合わせる作業も加わります。

電話を受ける人と表を書き換える人が同じだと、ここで作業が止まります。メモした変更を表に反映して、運転手さんに口頭で伝える。伝えた直後に、また次の電話で内容が変わる。この往復が「毎朝1時間」の中身であることが多いのです。

車いすの方が一人増えるだけで、車両の組み合わせから崩れる

欠席や時間変更なら、順番を組み直せば済みます。車いす対応が絡むと、「どの車に誰を乗せるか」から考え直しになります。リフト付きの車両は台数が限られていて、車いすを固定できる席も一台に一つか二つです。普段は杖で歩ける方から「今日は体調が悪いので車いすで」と連絡が来ることもあります。

こうなると玉突きが起きます。リフト車に乗る予定だった歩ける方を別の車へ移し、空いた席に車いすの方を入れます。そのうえで、移した方の家が移った先のルートの近くにあるかを確かめます。乗車時間が長くなりすぎないか。一緒に乗ると落ち着かない利用者さん同士になっていないか。介助が必要な方が一台に集中していないか。考えることが一気に増えます。

ベテランの担当者は、この玉突きを頭の中で数分で解きます。ただ、それは長年の経験があるからできることです。新しく入った職員が同じことをしようとすると、表を何度も書き直すことになり、送り出しの時刻に間に合わないこともあります。

組み直しの手間は、どの場面でふくらむのか

ここまでの流れを整理すると、組み直しのきっかけはいくつかの型に分けられます。それぞれについて、変わるもの、担当者が頭の中で考えていること、AIに任せやすい部分を並べました。

きっかけ変わるもの担当者が考えていることAIに任せやすい部分
欠席迎えの順番・時刻後ろの家の準備が間に合うか順番と時刻の再計算、連絡先の洗い出し
時間変更・通院便の数、車両の割り振り2便目を出すか、別ルートに組み込むか組み込み先の候補出し
車いす対応車両と座席の組み合わせリフト車の空き、介助者の人数座席の割り振り候補
追加・体験利用定員と座席初めて行く家の道、玄関の状況空き座席の確認

表にすると、AIに任せやすいのは「再計算」と「候補出し」だとわかります。一方で、担当者が考えていることの多くは、利用者さん一人ひとりの事情に関わる判断です。この切り分けが、送迎にAIを入れるときの出発点になります。

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AIに渡すのは「利用者の台帳」と「今朝の変更」の二つ

利用者の台帳と当日の変更からAIが送迎ルートの候補を組むイメージ

AIに送迎表を組ませるとき、毎朝ゼロから説明していては時間は減りません。用意しておくのは、変わりにくい情報をまとめた台帳と、その日の変更点の二つです。

台帳には、利用者さんごとに次のようなことを書いておきます。住所(または地図上の位置)、利用曜日、迎えの希望時間帯、車いすの有無、乗れない車両(道が狭くてワゴンが入れない等)、介助の人数、同乗を避けたい組み合わせなどです。大事なのは、ベテランの担当者が頭の中に持っている「紙に書かれていない知識」を、ここで一度書き出しておくことです。この作業そのものが、送迎の属人化をほどくことにもつながります。車両の台帳も同じように作ります。定員、リフトの有無、車いすの固定席の数、その車を運転できる職員を並べておきます。

今朝の変更は、短い文で十分です。「Aさん欠席」「Bさん通院のため10時迎え」「Cさん今日は車いす」。電話を受けた人がそのまま書き込める形にしておけば、受けた人と組み直す人が別でも情報が途切れません。AIは台帳と変更点を突き合わせて、車両ごとの迎えの順番、予定時刻の目安、変更の影響を受ける家の一覧を出します。「Dさんの迎えが15分早まるので事前に連絡を」のように、電話をかけるべき先まで出せるようにしておくと、担当者の手が止まりにくくなります。

注意したいのは、生成AIは道路の混み具合を正確に知っているわけではない点です。所要時間の精度を上げたいなら、地図サービスの経路計算と組み合わせる仕組みが必要です。どこまで自動にするかは事業所の規模や車両の数で変わるので、最初から完璧を目指さないほうが進めやすいでしょう。また、利用者さんの氏名・住所・心身の状態は個人情報です。外部のサービスに渡す場合は、番号に置き換える、事業所の中だけで扱える環境を使うなど、取り扱いの決まりを先に作っておく必要があります。業務の流れに合わせたAIの組み込み方は、AIエージェントの導入についてのページでも紹介しています。

最後に人が目を通すのは、地図に出てこない事情

AIが出した送迎表は、そのまま運転手さんに渡すものではありません。担当者が確認するポイントは、だいたい決まっています。

一つ目は、その日の利用者さんの様子です。今朝の電話で「少しふらつく」と言っていた方には、介助に慣れた職員の車に乗ってもらいたいところです。これは台帳にも変更点にも書きにくい、その日だけの事情です。二つ目は、ご家族の都合です。「娘さんが8時半に家を出るので、その前に迎えに来てほしい」といった時間の希望には理由があり、それは担当者のほうがよく知っています。三つ目は、運転手さんの負担の偏りです。AIの表では効率がよく見えても、一人の運転手に介助の重い方が続くなら、入れ替えたほうがよい場合があります。

この確認にかかる時間は、ゼロから表を作り直すよりは短くなるはずです。大事なのは、AIの表を「正解」として扱わないこと、そして担当者が直したところを台帳に戻していくことです。「この家は雨の日、ワゴンだと坂を上がりにくい」と一度書き足せば、次からはそれを踏まえた候補が出ます。確認のたびに台帳が育っていく流れを作れるかどうかで、数か月後の使い勝手が変わります。

沖縄の道路事情と天気を、条件としてどう入れるか

沖縄で送迎をしていると、本土の事例をそのまま当てはめにくい場面があります。朝の国道58号や330号の渋滞は、数分の出発の差で到着時刻が大きく変わります。学校の始業時刻に重なる道は避けたい、という判断もあります。夏場のスコールで前が見えにくい日や、台風の接近で午後の帰りを早める日もあります。

こうした事情は、毎朝AIに説明するより、台帳の側に条件として入れておくほうが扱いやすくなります。「平日7時半〜8時半はこの区間に時間の余裕を足す」「大雨の日は坂の上の家から先に回る」といった書き方です。台風で休業や時間短縮を決めるのは事業所の仕事です。それでも、決まった後に「帰りの便を全部前倒しにした表」をすぐ作れるだけで、職員の負担は軽くなります。

北部や離島のように利用者さんの家が広い範囲に点在している地域では、順番の組み方ひとつで乗車時間が大きく変わります。反対に、那覇や浦添のように家が密集している地域では、一方通行や車を停められる場所の少なさが制約になります。地域によって効いてくる条件は違います。自分たちの事業所で何が組み直しの原因になっているかを先に洗い出しておくのが近道です。

終わった一日を題材に、試しに組ませてみる

いきなり毎朝の業務で使い始めると、うまくいかなかったときに送迎そのものが遅れてしまいます。最初は、すでに終わった過去の一日を題材にするのが安全です。たとえば、欠席が二人出て、車いすの方が一人増えた日の朝を思い出します。そのときの変更点をAIに渡し、出てきた表を、担当者が実際に組んだ表と並べて比べます。

比べてみると、AIの候補のどこがずれているかが見えてきます。ずれの多くは、台帳に書かれていない事情が原因です。それを書き足して、別の日でもう一度試します。何日分か繰り返すうちに、AIの候補がベテランの表に近づくかどうかが判断できます。近づかないなら、条件が複雑すぎて今の段階では向かない、という結論も十分にありえます。それがわかるだけでも、試した意味はあります。

どの程度の仕組みが合うか、今使っている介護ソフトや送迎管理の仕組みとどうつなぐかは、事業所ごとに事情が違います。送迎表のほかにも、記録や連絡まわりでAIが手伝える場面はあります。沖縄の中小企業でのAI活用の全体像は、沖縄の企業のAI活用についての記事もあわせてご覧ください。

まとめ:朝の1時間を「作る時間」から「確かめる時間」へ

送迎表の組み直しに時間がかかるのは、欠席・時間変更・車いす対応のたびに、順番と車両の組み合わせを頭の中で解き直しているからです。AIに台帳と今朝の変更を渡せば、この解き直しの候補づくりを任せられます。その日の体調、ご家族の事情、運転手さんの負担といった地図に出てこない部分は、これまでどおり人が見ます。朝の1時間を、表を「作る」時間から「確かめる」時間に変えていく、という考え方です。自分たちの送迎にAIが合うか、どこから試すとよいかを一緒に整理したい場合は、お問い合わせからお気軽にご相談ください。