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契約更新の案内が手作業の保険代理店へ|AIで顧客フォローを月30分に

保険代理店の仕事のなかで、契約更新の案内はいちばん「やらないと事故になるのに、やっても売上に直結した実感が薄い」作業だと思います。来月更新の契約者を台帳から拾い、一人ひとりに合わせて文面を変え、返事が来ない人を思い出したときに追いかける。この一連が毎月きっちり数時間ぶん、静かに時間を食っていく。ここで先に結論を書いておくと、更新月の抽出と案内文の下書き、そして返事が来ていない人の洗い出しは、AIと表計算の組み合わせにほとんど渡してしまえます。人が残すのは、保障内容をどう説明するかと、意向を確かめる会話そのもの。この線引きができると、案内業務にかかる人の時間は月30分前後——契約数によっては、送信ボタンを押して回る時間だけ——に寄せられます。

沖縄の代理店は、社長と事務スタッフ一人か二人で数百件の契約を持っている、という形が珍しくありません。人手が薄いぶん、この作業は「気づいた人が思い出したときにやる」になりやすい。逆に言えば、仕組みに落とす効果がはっきり出やすい領域でもあります。以下では、更新案内を「更新月の抽出」「案内文の作り分け」「送信後の追いかけ」の3工程に分け、それぞれで人が手放してはいけない判断と、AIに渡してしまってよい作業を並べて見ていきます。

まず「毎月の更新案内」を3つの工程に分解してみる

手作業がしんどいと感じるとき、たいてい原因は作業量そのものではなく、性質の違う作業が一続きになっていることにあります。更新案内も同じで、実際にやっていることを分けると3つです。(1)今月・来月に更新を迎える契約を抽出する。(2)その契約者ごとに、内容に合った案内の文面を用意する。(3)送ったあと、反応がない人を拾い直して連絡する。

この3つは、必要な頭の使い方がまったく違います。(1)は条件に合うものを漏れなく並べる作業で、正確さが命だけれど判断はほぼ不要。(2)は文面づくりで、雛形の当てはめと「この人には保障の見直しを提案すべきか」という判断が混ざっている。(3)は状態管理で、誰が返事をして誰がまだかを追いかけるだけの、記憶に頼ると必ず抜ける作業です。

AIを入れて効果が出るのは、混ざっている部分をほどいてからです。「更新案内をAIに任せる」と丸ごと考えると、保障内容の説明までAIに書かせることになって、結果として全部チェックし直す羽目になる。工程ごとに、渡すものと渡さないものを決める。それだけで、同じツールでも手応えがかなり変わります。

工程1:更新月の抽出は、思い出す作業から「毎月出てくる作業」へ

契約台帳から更新月の契約を抽出するイメージ

更新月の抽出は、3工程のなかでいちばん素直にAIに渡せます。契約者名・満期日・商品種別・前回の連絡日あたりが並んだ表(ExcelでもGoogleスプレッドシートでも構いません)があれば、「来月満期を迎える契約を、満期日の早い順に並べて」と頼むだけで一覧が出てきます。難しい関数を書く必要はなく、「今年の更新月がまだ空欄の人だけ」「自動車保険だけ」といった条件も日本語で足せます。

ここで人が残す判断は、抽出条件そのものです。案内を出すのは満期の何日前からか、他社に乗り換えた人や解約手続き中の人をどう外すか、法人契約で担当者が変わっている先を別扱いにするか。この線引きは、代理店の営業のやり方と契約者との距離感で決まるもので、AIが決めるべきものではありません。逆に言えば、一度決めてしまえば毎月同じ条件で出せるので、決めるのは最初の一回だけです。

沖縄の代理店でよくあるのは、台帳が保険会社ごとの管理画面と手元のExcelに分かれていて、抽出のたびに突き合わせが必要になっているパターンです。この場合、いきなり全部を統合しようとすると手が止まります。まずは自社Excelだけを対象にして「抽出は毎月1日に必ず出てくるもの」という状態を作り、突き合わせは後から詰めていくほうが続きます。抽出が仕組みになると、それまで「そういえば来月◯◯さん更新だ」と誰かが思い出していた部分が、思い出さなくても出てくるものに変わる。この変化が、実は月の負荷をいちばん軽くします。

工程2:案内文の作り分けは、雛形の当てはめだけAIに渡す

案内文は、更新案内でもっとも時間を吸う工程です。全員に同じ文章を送れば楽ですが、それでは「機械的な通知」になって返信率が落ちる。かといって一人ずつ書けば、100件で丸一日仕事になります。ここでの現実的な解は、文面を「共通部分」と「その人固有の部分」に分け、共通部分と差し込みだけをAIに任せることです。

共通部分は、更新の時期であること、手続きの流れ、連絡先、期限の目安といった、誰に送っても同じ内容。固有の部分は、契約している商品、前回の更新からの変化、家族構成や事業内容の変化を踏まえた提案の入り口です。AIに渡すのは前者と、後者の「型」まで。たとえば「自動車保険・継続・前回変更なしの人向け」「火災保険・事業所・前回から設備が増えている可能性がある人向け」といったパターンごとに文面の雛形をつくらせ、名前と満期日と商品名を差し込む。この作業なら、100件あっても人が読み直して直す時間はごく短くて済みます。

渡してはいけないのは、保障内容そのものの説明と、見直しの提案の中身です。補償の範囲や特約の扱いは、書き方を一つ間違えると誤解を招き、契約者の不利益になりかねない。ここはAIが「もっともらしい説明」を書けてしまう領域だからこそ、危ないところでもあります。実務としては、案内文の中で保障内容に踏み込むのはやめて「更新にあたって現在の保障内容をご一緒に確認させてください」と入口だけ書き、中身は面談か電話で話す形に寄せるのが安全です。結果として文面は短くなり、AIに任せられる範囲も広がります。

工程AIに渡す作業人が残す判断
更新月の抽出条件に合う契約の一覧化、満期日順の並べ替え、重複や空欄の指摘何日前から案内するか、除外する契約の線引き
案内文の作り分け共通文面の作成、パターン別の雛形づくり、氏名・満期日・商品名の差し込み保障内容の説明、見直し提案をするかどうかの判断
送信後の追いかけ未返信者の抽出、経過日数の集計、再連絡リストの作成電話にするか訪問にするか、意向をどう確かめるか

表にすると単純に見えますが、実際に効くのは右側の列を先に決めることです。左側は道具の話なので後から差し替えられますが、右側は代理店としての方針にあたる部分。ここが曖昧なままAIを入れると、便利になったぶんだけ確認作業が増えて元に戻ります。

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工程3:送信後の追いかけは、記憶ではなく状態で管理する

案内送信後の反応を状態として管理するイメージ

3工程のうち、抜けがいちばん起きやすいのは送信後です。案内を出した時点では全員に連絡できているのに、返事が来た人の対応をしているうちに、返事が来ていない人が視界から消えていく。そして満期の直前になって慌てて電話をかけることになる。手作業でこれを防ぐには、送った日と反応の有無を毎回どこかに書き留めるしかなく、忙しい月ほど書き留めるほうが後回しになります。

ここでAIに渡せるのは、状態の集計です。台帳に「案内送信日」「反応の有無」「次にやること」の3列を足しておけば、「送信から7日以上経って反応がない人を抜き出して」と頼むだけで再連絡リストが出ます。満期までの残り日数を足して並べれば、どこから手をつけるべきかも見えます。凝ったシステムは要りません。必要なのは、記憶のなかにある「まだ返事がない人」を、表の上の状態として外に出してしまうことです。

人が残す判断は、追いかけ方の選択です。メールをもう一通送るのか、電話をかけるのか、近くまで行く用があるから顔を出すのか。沖縄では、那覇市内の事業所と本島北部や離島の契約者で、この判断がまるで違ってきます。移動に時間がかかる先は、他の用件とまとめて回ったほうが早い。逆に近い先なら、電話がつながらなければ寄ってしまえばいい。この段取りは土地勘と人間関係の話で、AIには決められません。だからこそ「誰を追いかけるべきか」の抽出をAIに任せて、「どう追いかけるか」に人の時間を使う形が噛み合います。

3工程を通すと、人の時間はどこに残るのか

この3工程を仕組みにしたとき、人の作業として残るものを具体的に並べてみます。月初に抽出結果を眺めて、案内対象から外す人がいないか確認する。生成された案内文を一通りざっと読んで、明らかにおかしい差し込みがないか見る。送信する。中旬に未返信リストを見て、電話と訪問の段取りを決める。この4つです。契約件数によりますが、確認と送信だけなら30分前後に収まる規模の代理店は少なくないはずです。

ここで浮いた時間の使い道が、実は本題かもしれません。更新案内を手作業でこなしていた代理店の多くは、「更新の連絡はしているが、保障内容の見直しの話まではできていない」という状態にあります。案内を出すだけで手一杯だからです。抽出と文面と追いかけの時間が縮むと、その先の会話に時間を割けるようになる。更新は本来、契約者の状況が変わっていないかを確かめる機会なので、ここに人の時間が寄るのは筋が通っています。

逆に言えば、時間が浮いたのに使い道を決めていないと、この仕組みは「便利だけど効果がよくわからないもの」で止まります。導入前に、浮いた時間で何をするかを一つだけ決めておく。それだけで、続けるかどうかの判断がしやすくなります。

台帳を「AIが読める形」に整えるのが最初の壁

ここまで書いてきた3工程は、どれも「契約情報が一つの表に整っている」ことを前提にしています。実務でつまずくのは、たいていこの前提のところです。満期日が「2026/4/1」と「令和8年4月1日」と「26.4.1」で混在している。商品名が担当者ごとの略称で書かれている。一人の契約者が複数行に分かれていて、どれが最新かわからない。この状態のままAIに渡すと、抽出漏れが出ます。

ただ、整える作業自体もAIに手伝わせられます。日付の表記ゆれを揃える、略称を正式名称に寄せる、同じ人と思われる行を並べて指摘させる。全部を一度に完璧にする必要はなく、「更新案内に必要な列だけ揃える」と割り切れば、数百件でも現実的な作業量です。むしろ重要なのは、整えたあとで入力のルールを一つ決めて、それ以降は崩さないこと。日付は必ずこの形式で、商品名はこの一覧から選ぶ、と決めておけば、二度目の整理は要らなくなります。

もう一つ気をつけたいのが、扱う情報の性質です。契約情報には氏名や連絡先、契約内容といった個人情報が含まれます。どのツールに何を入れるのか、社外のサービスに渡してよい範囲はどこまでか、社内の誰がアクセスできるのか。この整理は代理店として避けて通れない部分で、扱う情報の内容や利用するサービスの規約によって判断が変わります。導入の設計に入る前に、ここは一度確認しておくべきところです。詳しい進め方はAI業務代行のご案内でも触れていますが、判断に迷う部分は個別の状況を見ないと決められません。

「AIに任せた」と言えるようになるまでの順序

3工程を全部いきなり仕組みにしようとすると、まず台帳の整理で止まります。実際に回すなら、工程1から順に、一つずつ手放していくのが現実的です。最初の月は抽出だけAIに出させて、文面は今まで通り自分で書く。抽出が信用できると分かったら、次の月に文面の雛形づくりを渡す。それが落ち着いたら、未返信の抽出を足す。三か月かけて三工程、くらいの速さで十分です。

この順序にする理由は、前の工程の出力が次の工程の入力になっているからです。抽出が不正確なまま文面づくりを自動化すると、間違った相手に案内が飛びます。逆に抽出が信用できる状態なら、文面が多少不十分でも人が直せば済む。土台から順に固めるほうが、やり直しが少なくなります。

そして各工程を渡すたびに、「これはもう見なくていい」と確認するのを忘れないこと。AIに任せたのに毎回全件チェックしていると、作業は減りません。抽出結果を三か月見て一度も間違いがなかったら、次の月からは件数だけ確認して中身は見ない。この「見るのをやめる」判断を意識的にやらないと、いつまでも手作業のときと同じ時間がかかります。もちろん、扱っているのが契約情報なので、抜き取りで確認する程度の目は残しておくのが無難です。

更新案内の次に効いてくるところ

更新案内が仕組みになると、同じ作り方が使えそうな作業が他にも見えてきます。保険代理店の場合、事故対応の経過連絡、新規契約後のフォロー、年に一度の契約内容の確認案内あたりが、構造としてよく似ています。どれも「対象を抽出する」「文面を作り分ける」「反応を追いかける」の3工程で説明できるからです。

一つ仕組みを作ると、二つ目からは早くなります。抽出条件の決め方も、雛形の分け方も、未返信の追い方も、一度考えたことの応用で済む。台帳の整備も、更新案内のために整えた列がそのまま使えます。だから最初の一つに時間をかける価値があるし、逆に最初の一つを選ぶときは「毎月必ず発生して、抜けると困る作業」から入るのが効率的です。更新案内はまさにその条件に当てはまります。

沖縄の中小の代理店では、業務の手順が特定の人の頭のなかにあることが多く、その人が休むと止まる、という不安を抱えていることも珍しくありません。工程を分けて仕組みにする作業は、副産物として手順を外に出すことにもなります。抽出条件が書かれていて、文面の雛形があって、追いかけの基準が決まっている。この状態は、AIを使うかどうかとは別に、代理店として持っていて損のないものだと思います。

まとめ

契約更新の案内を「更新月の抽出」「案内文の作り分け」「送信後の追いかけ」の3工程に分けると、AIに渡せる作業と人が残すべき判断がきれいに分かれます。渡せるのは、条件に合う契約を漏れなく並べること、共通文面と雛形を用意して氏名や満期日を差し込むこと、未返信の相手と経過日数を集計すること。残すべきなのは、案内の対象をどこで区切るか、保障内容をどう説明するか、そして意向をどう確かめるかです。

この線引きをしたうえで工程1から順に手放していけば、案内業務にかかる人の時間は、確認と送信と段取りだけに絞れます。月30分という数字は、契約件数や台帳の整い方で当然変わりますが、「毎月数時間を思い出しながらこなす」状態からは確実に離れられるはずです。そして浮いた時間は、更新の機会に契約者の状況を確かめる会話に回せます。

実際に始めるときの最初の壁は、たいていAIではなく台帳です。表記のゆれを揃え、入力のルールを決める。この地味な作業が、あとの三工程すべての精度を決めます。どこから手をつけるべきか、扱う情報をどう管理すべきかは、代理店の規模や使っているシステムによって変わるので、自社の場合はどうかを一度整理してみるところからで構いません。具体的な進め方の相談はお問い合わせから承っています。