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訪問日程の調整メールが往復5回|AIで予定調整とリマインドを1通に

訪問日程を決めるだけのメールが、気づけば5往復している。読み返すと一通一通は必要なやりとりに見えるのに、終わってみれば1件の訪問を確定させるのに4日かかっている。結論から言うと、この往復はAIに「全部やらせる」必要はない。候補日の出し方・1通目の文面・前日リマインド・変更時の差し替えという4つの場面だけを型にして書かせれば、実質2往復まで畳める。しかもカレンダー連携は最初から要らない。手元のメールソフトとコピペだけで始めて、運用が固まってから連携に進めばいい。この記事では、その4段の型と、コピペ運用版・連携版という2段構えの進め方を手順として書いていく。

1件の訪問が決まるまでに、メールはこう積み上がっていく

まず、よくある流れをそのまま時系列で書き出してみる。月曜の朝、営業担当が「一度ご訪問してご説明したいのですが、ご都合はいかがでしょうか」と送る。これが1通目。夕方に返ってきたのは「来週でしたら大丈夫です」。この時点で日付はまだ1つも決まっていない。

火曜、担当は自分の予定表を見ながら候補日を3つ書いて送る。2通目。ところが水曜の朝に返ってきたのは「水曜の午後でお願いします」の一行だけ。訪問先が名護で、こちらの事務所は那覇となると、午後といっても13時開始と16時開始では出発時刻が2時間違う。営業車が1台しかない日は、別の担当と取り合いにもなる。

そこで3通目、「14時開始で1時間ほど、御社1階の受付でお呼びしてよろしいでしょうか」と確認を入れる。返事は木曜の夕方に届き、「その時間で結構です。ただ場所は本社ではなく倉庫のほうになります」。住所が変わったので、4通目で地図と駐車場の有無を確認し、5通目で「承知しました」と締める。ここまでで丸4日。訪問そのものは1時間なのに、決めるまでの手間のほうが大きい。

そして本番の前日、リマインドを送るかどうかで少し迷う。送らなければ先方が失念していて当日に電話が入る。送れば送ったで、また文面を考える手間が乗る。この一連を眺めると原因ははっきりしていて、5回の往復は「1回のメールで情報を1つずつしか渡していない」ことから生まれている。忙しさのせいでも、相手の反応が遅いせいでもない。

後出しになるのは、書き手が全部を決めきれていないから

なぜ情報を1つずつしか渡せないのか。書いている本人が、送信ボタンを押す時点で「日時・所要時間・場所・同行者・持参物・変更時の連絡先」を全部は決めきれていないからだ。決まっていないものは書けないので、相手の返事を待ってから次を決める。その繰り返しが往復になる。

沖縄の中小企業だと、この事情はもう少し具体的になる。社長や責任者が日中は現場に出ていて、メールを見るのは夜になる。総務が経理も採用も兼務していて、日程調整は「手が空いたときにやる仕事」に落ちている。だから「電話したほうが早い」となり、実際に電話で決まる。ところが電話で決めた内容は誰の受信箱にも残らないので、あとで「何時からでしたっけ」がまた発生する。速いはずの手段が、記録が残らないぶんだけ後戻りを生んでいる。

ここを直すのに必要なのは、気合いでも新しいツールでもない。「一通目に何を書くか」を先に固定してしまうことだ。書く内容が固定されれば、決めるべきことも自動的に前倒しになる。そして、固定された型に沿って文章を起こす作業こそ、AIがいちばん安定して手伝える部分になる。

AIに任せるのは、この4つの場面だけと決める

3つの候補日を1通のメールにまとめる流れを表したイラスト

日程調整の全工程をAIに預けようとすると、たいてい失敗する。誰と会うか、その訪問に価値があるか、雨で高速が混む日に無理をしてでも行くべきか——こうした判断は人が持つべきもので、預けた瞬間に確認作業が増える。だから範囲を切る。任せるのは、判断ではなく文章を起こす4つの場面だけにする。

第1段が候補日の出し方。自分の予定から、相手が選びやすい形に候補を整える。第2段が1通目の文面。候補日と一緒に、所要時間・場所・同行者・変更時の連絡手段までを1通にまとめる。第3段が前日リマインド。日時と場所だけを短く、押しつけがましくない調子で送る。第4段が変更時の差し替え。先方都合でも自分都合でも、謝りすぎず淡々と新しい候補に置き換える。

この4つに共通しているのは、内容の8割が毎回同じで、変わるのは固有名詞と日付だけという点だ。逆に言えば、毎回ゼロから書いているから時間が溶けている。AIを使う目的は文章をうまくすることではなく、この「毎回同じ8割」を考えなくて済むようにすることにある。業務のどこを機械に渡し、どこを人に残すかという線引きの考え方は、AIエージェント導入の考え方のページでも同じ整理をしている。

第1段と第2段——候補日の出し方と、1通目に何を詰めるか

候補日は3つ出す。2つだと両方外れたときに振り出しに戻り、5つ出すと相手が選ぶのに迷う。そして3つは「別々の曜日・別々の時間帯」に散らす。水曜14時・木曜14時・金曜14時と並べても、その時間帯が塞がっている相手には全滅する。午前・午後・夕方をまたいで散らしておくと、一発で決まる確率が上がる。移動を考えるなら、名護や本部方面は午前と午後をまとめて1日に寄せる、南部は午後に固める、といった自社のルールを先に決めておくと、候補を出すこと自体が機械的な作業になる。

1通目は、この3候補に加えて次の要素を必ず含める。所要時間の目安、訪問先の住所と入り口の指定、こちらの人数と役職、当日連絡がつく携帯番号、そして「いずれもご都合が合わなければ、ご希望の時間帯をお知らせください」の一行。最後の一行があると、3候補が全滅したときにも相手が「全部だめです」で止まらず、次の情報を返してくれる。往復が1回減るのはたいていここだ。

AIへの頼み方も難しく考えなくていい。「取引先へ送る訪問日程の依頼メール。候補日は◯月◯日14時・◯月◯日10時・◯月◯日16時。所要1時間、当方2名、場所は先方事務所。丁寧すぎず簡潔に、200字程度で」と、決まった要素を並べて渡すだけでいい。出てきた文章をそのまま送らず、固有名詞と数字だけは必ず目で確認する。ここだけは人の仕事として残す。日付や社名の取り違えは、丁寧な文面ほど気づかれにくい。

第3段と第4段——前日の一通と、崩れたときの立て直し

前日リマインドは、内容よりも長さで決まる。日時、場所、こちらの人数、当日連絡先。この4つだけを3行程度で送る。用件を繰り返したり、あらためて資料の説明を添えたりすると、相手は読み流してしまい、肝心の時刻が頭に入らない。「明日◯時に、◯◯の入り口へ伺います。◯名で参ります。当日はこちらの番号へご連絡ください」——これで足りる。送る時刻は前日の夕方が扱いやすい。朝に送ると一日のうちに忘れられ、当日朝だと相手の予定変更に間に合わない。

第4段の差し替えは、いちばん文面に迷うところでもある。急な現場対応で動かさざるを得ないとき、謝罪を長く書くほど相手は返事に困る。実務的には、お詫びは一行、次の候補は3つ、変更後も所要時間と場所は変わらない旨を明記、この3点で足りる。先方都合の変更なら「お気になさらないでください」と書いたうえで、こちらから新しい候補を出す。相手に候補を考えさせないほうが、結局は早く決まる。

この4段を型として持っておくと、日程調整という仕事が「考える作業」から「埋める作業」に変わる。埋める作業になれば、担当が変わっても品質が落ちない。属人的だった連絡の質が揃うという副次効果のほうが、時間短縮より効いてくる場面も多い。

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まずは連携なしで、コピペ運用から始める

ここまで読んで「カレンダーと繋がないと意味がないのでは」と思うかもしれないが、順番は逆にしたほうがいい。最初の1〜2か月は、連携なしのコピペ運用で回す。やることは3つだけ。第一に、4段それぞれの依頼文をテキストファイルにまとめてデスクトップに置く。第二に、AIに渡すときはその依頼文をコピーし、日付と社名だけ書き換えて貼る。第三に、出てきた文面をメールに貼り、固有名詞を目視で確認して送る。

この運用の利点は、失敗しても被害が自分の手間だけで済むことだ。連携を先に組んでしまうと、うまくいかなかったときに「設定が悪いのか、型が悪いのか」の切り分けができない。コピペで回している間に、自社の候補日ルール、所要時間の書き方、リマインドを送る時刻といった細部が固まってくる。固まった型を持たないまま自動化すると、間違った型が自動で量産されるだけになる

もうひとつ、コピペ期間中は送った文面を数件残しておくといい。あとで型を直すときの材料になるし、他の担当に渡すときの見本にもなる。沖縄の中小企業だと日程調整を担う人が1〜2名に偏りがちなので、その人が休んだ日にも同じ品質で回るかどうかは、意外に大きな差になる。

連携版に進むかどうかは、この基準で決める

カレンダー連携で前日リマインドが自動送信される仕組みのイラスト

連携版というのは、カレンダーの空き時間から候補日を自動で拾い、確定した予定をそのまま登録し、前日リマインドを時刻指定で自動送信する形を指す。便利ではあるが、全社に必要とは限らない。判断の目安は、週に何件の日程調整が発生しているかと、担当が2名以上いるかの2点でいい。週に数件で担当が1名なら、コピペ運用のままで十分に間に合う。週に十数件を超え、複数人の予定を突き合わせる必要が出てきたときに、初めて連携の効果が手間を上回りはじめる。

逆に、連携に進んだときの注意点もある。カレンダーに社内の予定が正しく入っていないと、空いていない時間を候補として出してしまう。「予定表に入れる」という習慣が定着していない状態で連携すると、ダブルブッキングという分かりやすい事故につながる。導入費用や必要な仕組みは、使っているメールやカレンダーの種類、社内で何人が使うかによって変わるため、内容によるとしか言えない部分が大きい。自社のどちらの段階が合うか迷う場合は、お問い合わせから現状の件数と体制を伝えてもらえれば、要相談の形で整理できる。

比較する点コピペ運用版(連携なし)カレンダー連携版
準備するもの4段の依頼文を書いたテキスト1枚カレンダー・メールの接続設定
始めるまでその日のうちに開始できる設定と試験運用の期間が必要
向いている規模調整が週に数件、担当1名調整が多く、複数名の予定を突き合わせる
候補日の作成自分の予定を見ながら手で決める空き時間から自動で抽出
前日リマインド前日の夕方に手動で送信時刻指定で自動送信
つまずく所依頼文の更新が後回しになる予定表への入力漏れがそのまま事故になる

日程調整を「考える仕事」から外す

訪問日程の調整は、成果に直結しないのに神経を使う。相手に失礼がないか、時間の指定が押しつけがましくないか、リマインドがしつこくないか——毎回そこに判断を挟むから疲れる。4段の型を決めてしまえば、その判断は最初の一度だけで済む。あとは日付と社名を入れ替えるだけの作業になり、往復は候補提示と確定の2回に収束していく。

始め方はごく小さくていい。今週これから送る日程調整メールを1件だけ選び、候補日を3つ・散らして・1通目に所要時間と場所と連絡先を入れる。それだけで、少なくとも1往復は減る。その1件で手応えがあれば依頼文をテキストに残し、次の1件で使い回す。連携を検討するのは、その型が自分の手に馴染んでからで遅くない。AIの使いどころを社内の他の業務にも広げていく考え方は、沖縄の中小企業のAI活用のほうで全体像としてまとめている。