ホームページを自作するか制作会社に頼むか|AIで変わった3つの分かれ目
ホームページを自分で作るか、制作会社に頼むか。この問いは長らく「予算があるかどうか」で語られてきましたが、AIが文章も画像もある程度こなすようになった今、判断の軸はそこではなくなりました。先に結論を書きます。サイトを構成する要素は五つ(文章・写真・デザイン・設定まわり・公開後の更新)あり、そのうちAIで自作側に寄せやすいのは主に文章と一部の画像だけです。残りを無理に寄せると、半年後に作り直すことになりやすい。そして最終的な分かれ目は三つ、更新頻度・関わる人数・問い合わせを取る設計かどうかに収束します。この記事では、二者択一ではなく「どの要素をどちらに置くか」という配分の話として整理します。
「全部自作」か「全部外注」かで考えるから決まらない

那覇の飲食店の方から相談を受けたときのことです。「知り合いに勧められて自分で作ってみたけれど、途中で止まってしまった」と。話を聞くと、文章はAIに手伝ってもらって一日で書けた。写真もスマホで撮った。ところが、スマホで見たときに文字が画像に重なる、問い合わせフォームから送信しても自分に届かない、独自ドメインをどう設定すればいいのかわからない――そこで手が止まった、と。
これは能力の問題ではなく、切り分けの問題です。ホームページという一つの塊で考えると「作れるか、作れないか」の二択になってしまう。でも実際には、書く作業と、撮る作業と、並べる作業と、動くようにする作業と、その後ずっと手を入れ続ける作業は、まったく性質が違います。必要な時間も、失敗したときの戻しにくさも違う。だから「全部自分で」も「全部お任せ」も、たいていどこかに無理が出ます。
沖縄の中小企業や個人事業の現場だと、社長がそのまま現場に立っていることが多い。工務店なら現場、士業なら顧客対応、小売なら店頭。まとまった時間が取れるのは夜か日曜だけ、という方も珍しくありません。そういう条件下で「全部自作」を選ぶと、着手はできても完走できない。逆に「全部外注」にすると、公開後に一行直したいだけでも連絡が要る状態になって、結局更新が止まる。どちらも同じ結末――更新されないサイトが残る――にたどり着いてしまうわけです。
五つの構成要素で、自作・AI併用・外注を並べてみる
そこで、感覚で決めずに要素ごとに置き場所を決めます。下の表は、サイトを作るときに必ず発生する五つの作業について、自分だけでやる場合・AIを使いながら自分でやる場合・制作会社に任せる場合で、それぞれ何が起きるかを並べたものです。手間と、続けやすさの観点でご覧ください。
| 構成要素 | 自作(AIなし) | AI併用の自作 | 外注 |
|---|---|---|---|
| 文章 | 白紙から書き出せず止まりやすい。書けても言い回しが硬くなりがち | 下書きが数分で出る。事実と固有情報を自分で入れ替えれば実用に足りる | ヒアリングを受けて任せられる。自社の言葉に寄せるやり取りは必要 |
| 写真 | スマホ撮影で用意できる。明るさと構図でばらつきが出る | 加工・切り抜き・整えは楽になる。ただし現場や人の実写は自分で撮るしかない | 撮影から任せられる。日程調整と立ち会いの手間は発生する |
| デザイン | テンプレートを選ぶところまでは早い。崩れの修正で消耗する | 配色や見出しの案出しは進む。全体の統一と例外ページで詰まりやすい | 崩れの責任も含めて任せられる。細かい好みは伝え方次第 |
| 設定まわり(ドメイン・フォーム・計測) | 調べながらなら可能だが、つまずくと丸一日溶ける | 手順の説明は得られる。実際の設定画面は自分で触るので難所は変わらない | ここが最も差が出る。動かない状態のまま公開する事故を避けられる |
| 公開後の更新 | 自分で直せる状態なら強い。やり方を忘れて放置になることも | 文章の差し替えは速い。構造を変える更新は不安が残る | 依頼すれば確実。小さな修正ほど頼みづらさが出る |
この表を眺めると、AIが効いているのは上の二行と、最終行の一部だとわかります。真ん中の「設定まわり」は、AIがどれだけ賢くなっても、あなたの契約しているドメイン管理画面にログインして値を入れる作業そのものは減りません。ここを見誤ると「AIがあるから全部いける」という判断になり、公開直前で止まります。
AIで自作側に寄せられるようになったのは、どこまでか
いちばん変わったのは、やはり文章です。以前は「会社概要のページに何を書けばいいかわからない」という段階で止まる方が多かった。今は、業種と地域と伝えたいことを渡せば、たたき台がすぐ出てきます。宮古島の宿泊施設なら、周辺の過ごし方や送迎の有無といった項目立てまで含めて提案が返ってくる。ゼロから書くのと、出てきた文を直すのとでは、心理的な負担がまるで違います。
もう一つは、下調べです。同業のサイトを見て「うちは何を書けば違いが伝わるのか」を整理する作業。これまでは何時間もかかっていたものが、要点を投げれば論点の形で返ってきます。うるま市の設備工事の会社さんが「対応エリアと緊急対応の有無を先に書くべき」と気づいたのも、この過程からでした。実際、問い合わせの前に確認されるのはそこだったそうです。
画像も、用途によっては寄せられます。イメージカットや背景、図解のような「実在しなくても成立するもの」は生成で足りることが増えました。ただし、これには線引きがあります。施工事例、スタッフの顔、店内の様子、扱っている商品――信頼に直結するものは実写でなければ意味がない。生成画像で埋めたサイトは、見る人に伝わります。言葉にできなくても「なんとなく作り物っぽい」と感じ取られる。そこを削ると、サイトを作った目的そのものが薄れます。
あわせて、社内の文章づくりをどう仕組みにするかについては、AIエージェント導入の考え方のページでも触れています。記事を書くこと単体ではなく、業務の流れの中にどう置くかという話です。
寄せると後で作り直しになる部分を、先に知っておく

ここが本題です。作り直しが発生するのは、たいてい次の三箇所からでした。
一つめは、ページの構造です。とりあえず一枚もので作り始めて、後からサービスを追加したくなったときに、どこにも入れる場所がない。仕方なく一枚の下に足していくと、どんどん長くなって読まれなくなる。最初に「将来ここが分かれる」と想定して器を用意しておけば、追加は五分で済んだはずのものが、後からだと全面的な作り直しになります。AIは頼まれた文章を書いてくれますが、あなたの三年後の事業構成までは知りません。
二つめは、問い合わせの導線と受け口です。フォームを置いたつもりでも、送信内容がどこにも届いていない。迷惑メールに入ったまま数か月気づかなかった、というのは実際にある話です。あるいは、フォームは動いているのに、送信後に何も表示されず、利用者が「送れたのかわからない」まま離脱している。この種の不具合は、自分で自分のサイトを触っていると発見できません。作った本人は送信ボタンを押した後の画面をじっくり見ないからです。
三つめは、後から手を入れられる形になっているか。テンプレートを大きく改造して見た目を整えた結果、どこを直せばどこが変わるのか、自分でもわからなくなる。一年後に営業時間を変えたいだけなのに、触ると別の場所が崩れる。こうなると、引き継ぐ側――外部に頼むにしても――が現状把握から始めることになり、かえって遠回りです。
この三つに共通するのは、公開した日には問題として現れないことです。だから自作の判断そのものが悪いわけではなく、「公開がゴールだと思って作ると、後で効いてくる」ということ。逆に言えば、この三箇所さえ最初に押さえておけば、他は思い切って自作に寄せて構いません。
沖縄の現場で、実際にどう配分しているか
配分の考え方を、いくつかの状況で描いてみます。あくまで型の一例で、業種や体制によって変わります。
名護で一人で工房をやっている作り手の方であれば、作品の写真は自分で撮るのが一番いい。光の向きも、置き方も、本人がいちばんわかっているからです。文章はAIで下書きして、自分の言葉に直す。デザインは既製のものをほぼそのまま使う。そのうえで、ドメインの設定とフォームが確実に届くところだけ、人に見てもらう。これで公開まで到達できます。
一方、那覇でスタッフが十名ほどいる会社で、採用にも使いたいという場合は、ずいぶん様子が変わります。誰が書くのか、誰が確認するのか、公開前に社内の誰の目を通すのか。この段取りが決まっていないと、原稿が止まる。原稿が止まるとサイト全体が止まる。実際、社内でよくある詰まり方は技術ではなく承認待ちです。この規模になると、更新のたびに社内を回すぶん、制作の側は任せて、自社は「何を載せるか」の判断に集中したほうが早く進みます。
もう一つ、石垣島の観光まわりのように季節で内容が変わる業態。この場合は更新の回数が多いので、自分たちで直せる状態を最優先にします。逆に、年に一度しか触らない会社案内的なサイトなら、自分で直せる必要性は下がります。更新の頻度が、そのまま「どちらに寄せるか」を決めているのがわかると思います。
手間の総量は、公開までではなく一年で見る
比較するときに見落とされがちなのが、時間軸です。多くの方は「公開までにどれだけ手間がかかるか」で比べますが、実際に効いてくるのは公開してからの一年です。
自作で公開まで持っていった場合、そこまでの数十時間は自分の中に残ります。どこを触ればどうなるかを知っている状態は、その後の強みです。ただし、その知識は使わないと抜けます。三か月触らないと、ログインの方法から思い出すことになる。だから自作を選ぶなら、月に一度でも何か手を入れる習慣をセットで作っておいたほうがいい。
外注した場合は、公開までの手間は減りますが、それは消えたわけではなく形が変わっただけです。ヒアリングに答える、原稿の内容を決める、写真を用意する、確認して返す。この往復は必ず発生します。むしろここを面倒がって「お任せで」と言ってしまうと、出来上がったものが自社の実態とずれて、結局書き直しになる。手間の総量そのものは、思っているほど大きく変わりません。変わるのは、その手間がどの種類の作業に使われるかです。
分かれ目は三つ。順番に答えを出す
ここまでを踏まえて、判断を確定させます。次の三問に答えるだけです。悩ましく感じても、直感で選んで構いません。
第一問。このサイトを、月に一度以上触りますか。――はい、なら自作側に寄せてください。頻繁に触るものを毎回人に頼むのは、双方にとって負担です。触るたびに待ち時間が発生し、そのうち更新自体をやめてしまう。いいえ(年に数回以下)なら、自分で操作を覚える価値が薄いので、外注側に寄せて構いません。覚えても忘れます。
第二問。作る過程に、あなた以外の人が関わりますか。――いいえ、一人で決めて一人で作るなら、自作が最も速い。誰の確認も要らないので、思いついたその日に直せます。はい、複数人が関わるなら外注側に寄せてください。人が増えると、作業そのものより「決める・揃える・確認する」に時間が取られます。制作の工程まで自社で抱えると、その調整に潰れます。
第三問。このサイトで、問い合わせや申し込みを取りますか。――いいえ、名刺代わりに存在すればいいなら、自作で十分です。連絡先が正しく載っていればその役割は果たせます。はい、なら少なくとも導線と受け口の部分は外注側に置いてください。ここは前述のとおり、動いていないことに自分では気づけない領域です。問い合わせを取る目的で作ったサイトが、実は一件も届いていなかった――これがいちばん避けたい結末です。
三問のうち二つ以上が自作側なら自作を主軸に、二つ以上が外注側なら外注を主軸に。そのうえで、主軸と逆になった項目だけを部分的に補えば、たいていの場合はうまく収まります。判断に迷う場合や、自社の状況が当てはまりにくいと感じる場合は、こちらからご相談ください。内容によって適した進め方は変わりますので、まず状況をお聞かせいただければと思います。
まとめ
AIが変えたのは、「作れる/作れない」の線ではなく、どこまで自分の側に引き受けられるかの線でした。文章と一部の画像は、たしかに自作側へ大きく寄りました。一方で、ページの構造、問い合わせの導線と受け口、後から直せる形になっているか――この三箇所は依然として、後から効いてくる部分として残っています。
だから決め方は、全部か無かではありません。五つの構成要素それぞれについて、自分で持つか、任せるかを決める。そして迷ったら、更新頻度・関わる人数・問い合わせを取る設計かどうか、この三つの問いに戻る。ここまで整理できていれば、あとは動き出すだけです。作り始めてから迷うより、この配分を先に決めておくほうが、結果的にずっと早く形になります。