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営業代行に外注するかAIで内製するか|沖縄の少人数の会社の判断軸

AI活用

沖縄で従業員が数人から数十人という規模の会社が新規開拓を強化しようとすると、たいてい「営業代行に頼むか、AIを入れて自社でやるか」という二択の形で相談が始まります。結論から言うと、この二択の立て方そのものが判断を難しくしています。営業は一つの塊ではなく、リストを作る、最初に接触する、返事がない相手を追い続ける、商談の前に材料をそろえる、という性質のまったく違う工程の集まりだからです。工程ごとに「外に出したほうがいい」「AIで自社に持ったほうがいい」「人が出るしかない」を割り振ってしまえば、全部外注か全部内製かで悩む必要はなくなります。この記事では四つの工程を一枚の表に振り分けたうえで、県内特有の商圏の狭さと紹介中心の商習慣が、その振り分けをどう動かすのかを説明します。

営業をひとかたまりで考えるから、外注かAIかで止まる

営業を四つの工程に分けて考えることを表したイメージ

営業代行の見積もりを取ると、たいていは「架電何件」「アポ何件」といった単位で提案が返ってきます。一方でAIの導入を検討すると、今度は「メールの自動生成」「議事録の要約」といった機能の単位で話が進みます。単位が噛み合っていないので、並べても比べられません。両者を同じ土俵に乗せるには、自社の営業活動そのものを工程に割って、その工程ごとにどちらが担えるのかを見るのが早い方法です。

沖縄の少人数の会社で実際に起きていることを追うと、新規開拓はおおむね四つの局面に分かれます。誰に当たるかを決めるリスト作成、その相手に初めて触れる初回接触、一度接点を持った相手を切らさずに追い続ける追客、そして会う直前に材料をそろえる商談準備です。このうちどれが重いかは会社によってまったく違います。建設資材の卸で長年やってきた会社なら、当たるべき相手は頭の中にほぼ入っていて、重いのは追客のほうです。県外から進出してきた企業の県内拠点なら、そもそも誰がキーマンなのかを知らないところから始まるのでリスト作成が重い。重い工程がどこかを先に決めないまま「営業を何とかしたい」と外に相談するから、返ってくる提案が自社の痛みとずれるわけです。

四工程の振り分けを一枚にした判断表

四つの工程を、外注に出したほうが早いもの、AIで自社に持ったほうがいいもの、人が出るしかないものに振り分けると次のようになります。県内の少人数の会社を想定した一般的な整理で、業種や既存顧客の厚みによって動きますが、出発点としてはこの形で考えると迷いが減ります。

工程外注が向く場面AIで内製できる部分人がやるべきこと
リスト作成県外・全国へ広げるとき、業種を横断して母数を確保したいとき公開情報の収集と整理、既存顧客との重複チェック、優先順位づけ「この会社には当てない」という県内事情の線引き
初回接触面識のない層に量で当たると割り切れるとき相手ごとの文面の下書き、送信の記録と反応の集計紹介経路の選択と、名前を出してよいかの確認
追客原則として向かない(文脈を社外に渡しにくい)止まっている案件の検知、次に触れる理由の提案、履歴の要約温度感の判断と、実際の一本の電話
商談準備資料作成の一部を切り出す場合のみ相手企業の下調べ、過去のやりとりの要約、想定質問の洗い出し提案の中身と、条件をどこまで出すかの決定

表を眺めてわかるのは、四工程のどれにも人が出るしかない部分が残っている一方で、外注が丸ごと引き受けられる工程は思ったより少ない、ということです。逆にAIが担えるのは「調べる」「下書く」「思い出させる」という、人が動く手前の準備にあたる部分に集中しています。ここから先は工程ごとに、なぜこの振り分けになるのかを見ていきます。

リスト作成|狭い商圏では「集める」より「重ねない」が難しい

沖縄でリストを作るときにまず突き当たるのは、量が集まらないことではなく、同じ相手に別ルートから重ねて当たってしまうことです。商圏が小さいので、営業担当が二人いれば二人とも同じ会社を候補に挙げますし、数年前に一度断られた相手が、外部から買ったリストの中にきれいに載って戻ってきます。県外向けに作られたリストは本社と拠点の区別が甘く、決裁が本土にある企業の那覇の拠点へ「新規のご案内」を送って、判断できない相手の時間を奪って終わる、ということも起きます。

この工程でAIが効くのは、母数を増やす方向よりも、手元にある情報どうしを突き合わせる方向です。既存顧客の一覧、過去の見積もり履歴、たまった名刺、それに公開情報を並べて、当たってよい相手と当ててはいけない相手を仕分けるところまでは自社の中で回せます。逆に、県外や本土へ商圏を広げたい局面では外注の力が素直に効きます。土地勘のない地域で母数を確保するのは、社内でAIを回すより外に頼んだほうが早い場面が多いからです。ただし、その仕分けの最後に残る「この会社には当てない」という判断だけは社外に出せません。取引先どうしの系列関係や、地域の付き合いの中でどこと近いかは、リストの上には書かれていないからです。

初回接触|紹介で回る土地では、いきなりの一斉送信が跳ね返る

初回接触は、県内でもっとも慎重に扱うべき工程です。紹介で仕事が回る土地では、面識のない相手への一斉送信やいきなりの架電が、単に反応がないだけでは済まないことがあります。断られた相手が、こちらの取引先の知り合いだった、というのは珍しくありません。営業代行にテレアポを丸ごと任せて件数を追った結果、県内での名前の出方が思っていたのと違う形になってしまう、という懸念は現実的なものです。

だからといって初回接触を全部人力でやると、少人数の会社では単純に手が足りません。ここでAIが担えるのは、送る相手ごとに文面を書き分ける部分です。同じ案内でも、相手の業種や、こちらとの接点、公開されている取り組みに触れた一文が入っているだけで読まれ方は変わります。その一文を人が三十社ぶん考えるのは無理でも、下書きを機械に出させて人が直すなら現実的な作業量に収まります。一方で、誰の紹介として話を持っていくのか、その人の名前を出してよいかを確かめるのは人の仕事です。紹介者への一本の確認を飛ばして機械的に送ったせいで、紹介してくれた本人に迷惑がかかる。これが県内でいちばん避けたい失敗です。営業支援にAIをどう組み込むかはAIエージェントの導入支援でも扱っている領域ですが、どこまでを自動で送るかの線引きは会社ごとに決める必要があります。

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追客|担当者の記憶にある案件を、仕組みの側へ移す

止まっている案件をAIが拾い上げ、人が電話をかける追客の分担イメージ

四つの工程のうち、AIで内製する価値がいちばん大きいのは追客です。理由は単純で、この工程がまるごと抜け落ちている会社が多いからです。見積もりを出したまま三か月、先方の担当者が替わったまま連絡が途切れたまま、次年度の予算が固まる時期を過ぎたまま。少人数の会社では案件の状況が担当者の記憶の中にしか置かれていないので、その人が現場や別件で忙しくなった瞬間に、追客だけが静かに止まります。新規開拓に費用をかける前に、止まっている追客を動かすほうが早いという場合も少なくありません。

ここは外注に向きません。過去のやりとりの温度感、相手の会社の内部事情、こちらの都合。追客に必要な文脈は社外に渡しにくく、渡せたとしても説明の手間のほうが大きくなります。逆にAIなら、メールや議事録、見積もりの履歴を読ませて「この案件は一定期間動いていない」「次に触れる理由としてはこれがある」というところまで出させられます。出てきた候補を見て、いま連絡すべきかを決め、実際に電話をかけるのは人です。この分担なら、記憶に依存していた部分を仕組みの側へ移しつつ、相手と話す部分は人の手に残せます。

商談準備|人が話し始める前の一時間を前倒しする

商談準備は、時間の使われ方がいちばん見えにくい工程です。会う前に相手の会社を調べ、これまでのやりとりを読み返し、聞かれそうなことを想定する。この作業に一件あたりどれくらいかけているかを尋ねると、たいてい本人も正確には答えられません。そして少人数の会社では、この準備が省かれた状態で商談に入ることが日常的に起きています。移動の車中で思い出しながら整理する、というのが実態に近いはずです。

ここでAIに任せられるのは、人が話し始める前の下ごしらえです。相手企業の公開情報を整理する、これまでのメールと議事録から要点を抜く、想定される質問を並べる。どれも人がやれば時間はかかるが判断は要らない作業で、機械に前倒しさせるのに向いています。準備のなかで人が持つべきなのは、何を提案するか、どこまでの条件を出すかという中身の決定です。金額や納期の線引きは自社の体力と直結するので、機械が出した案をそのまま持っていくものではありません。資料そのものを外に作ってもらう選択肢もありますが、切り出せる範囲は限られ、割に合うかどうかは内容によります。

判断表を自社に当てはめるための三つの条件

ここまでの振り分けは一般論なので、自社に当てはめるときは三つの条件で補正します。一つめは商圏です。当面は県内だけで足りるのか、県外や本土の市場に出ていくのか。県内に閉じるなら母数を増やす外注の価値は下がり、既存の関係を切らさない追客の比重が上がります。逆に県外へ出るなら、土地勘のない場所で当たりをつける部分を外に頼んだほうが早い場面が増えます。

二つめは人です。AIで内製するといっても、出てきたものを見て直す人が社内に要ります。この役を誰が持つのかを決めないまま道具だけ入れると、数か月後には誰も開かない画面が一つ増えるだけになります。逆に、営業の勘所がわかっていて手も動く人が一人でもいるなら、内製に寄せたほうが結果的に自社に残るものは多くなります。

三つめは時間軸です。今期中に何件という話なのか、二、三年かけて営業のやり方そのものを変えたいのか。前者なら外注のほうが立ち上がりは速く、後者ならAIで内製したほうが積み上がります。どちらが正しいという話ではなく、急ぎの案件を外注で凌ぎながら、その裏で追客と商談準備の仕組みを自社に作っていく、という順番が現実的なこともあります。

外注とAI内製は、そもそも二択ではない

結局のところ、外注かAI内製かは排他的な選択ではありません。四工程の表をもう一度見ると、外に出しやすいのはリスト作成と初回接触の一部、自社に持つ価値が高いのは追客と商談準備、という形にきれいに分かれます。つまり、外に出す工程と自社に持つ工程を同時に決めればよいだけの話です。

併走させるときに一つだけ気をつけたいのは、接点の記録をどこに残すかです。外注先が当たった相手と、自社で追っている相手が別の場所に記録されていると、数か月後に同じ会社へ違う担当から連絡が行きます。狭い商圏ではこれがそのまま印象として残ります。外注を使う場合でも、誰にいつ何を伝えたかの記録は自社側へ集める形にしておくと、後からAIに読ませる材料もそのまま揃います。自社の工程のどこが重いのか判断がつかないときは、お問い合わせから現状を聞かせてください。どこまでを外に出し、どこを内製にするのが妥当かは、体制と扱っている商材によって変わるため、まずは現状の整理からになります。

まとめ

営業代行に外注するかAIで内製するかは、会社単位で決める問いではなく工程単位で決める問いです。リスト作成は商圏を広げるときに外注が効き、県内の線引きは人が持つ。初回接触は文面をAIに書かせて、紹介の筋は人が通す。追客はAIで内製する価値がもっとも高く、商談準備は下ごしらえを機械に前倒しさせて中身の決定を人が持つ。この四つを振り分けたうえで、商圏・人・時間軸の三条件で補正すれば、比べようのなかった二つの見積もりがようやく同じ土俵に乗ります。営業まわりの他の記事はブログ一覧にまとめています。