ホームページ制作が進まない原因は原稿|AIで文章と写真の準備を1週間に
ホームページ制作が進まない原因は、デザインの決まらなさでも制作会社の遅さでもなく、ほとんどの場合原稿と写真が社内から出てこないことです。逆に言えば、この二つを先に片づけてしまえば、止まっていた案件は動き出します。しかも今は、原稿の初稿づくりと写真の段取りにAIを使えるので、これまで三か月かかっていた材料集めを一週間に圧縮できます。
この記事では、「制作会社に頼んだのに半年動かない」という典型的な止まり方を、原稿・写真・確認という三つの詰まりに分けて診断し、それぞれをどう抜けるかを手順で書きます。最後に、発注側が用意する材料と制作会社に任せる領域を一枚の表にまとめます。
「頼んだのに半年動かない」の正体は、待ち時間の合計
制作が止まっている案件を工程ごとに時間で割ってみると、意外な内訳が出てきます。デザイン案を起こす、文字を組む、コーディングする——制作会社の手が実際に動いている期間は、案件の総日数のうち一部にすぎません。残りの大半は待ち時間です。原稿が届くのを待つ時間、社員の顔写真の撮り直しを待つ時間、社内で「これで出していいか」の返事が回ってくるのを待つ時間。キックオフは盛り上がり、構成案までは二週間で進んだのに、そこから連絡が途切れる。止まった場所を辿ると、たいてい「トップページの会社紹介文をお願いします」というメールの返信欄です。
社員十人前後の会社では、自社のことを文章にできる人がそもそも一人か二人しかいません。そしてその人は、現場も見積もりも請求も持っています。ホームページの文章には外から来る締め切りがないので、いくらでも後ろに倒れます。倒れているあいだ制作会社は手を止めるしかなく、担当者が変わり、熱が冷め、気づけば年度が変わっている。これはやる気の問題ではなく、段取りの問題です。詰まる場所は原稿・写真・確認の三か所にほぼ限られるので、三つを別々にほどけば動き出します。
詰まりの一つめ、白紙のWordが三か月机の上で寝る
制作会社から渡されるのは、たいていページ構成表と「ここに入れる文章をください」という空欄の並びです。空欄の上には「会社紹介」「サービス概要」「代表挨拶」と書いてあります。ここで手が止まる理由は、書く材料がないからではありません。材料は社長の頭の中に十分あります。止まるのは、白紙に向かって一行目を決める作業が、日々の実務のどの仕事とも似ていないからです。見積書や報告書には型がありますが、自社を紹介する文章には型がない。だから「あとで落ち着いたときに」となり、落ち着いた時間は来ません。
さらに厄介なのは、自分で書こうとすると必ず「うちは特別なことはやっていない」に落ちるところです。二十年続いている、急ぎでも電話に出る、図面がない古い建物でも受ける、島の現場に行く。外から見れば十分に差なのに、本人には当たり前なので書きません。結果、どこの会社にも当てはまる無色の文章ができ、それを読み返して「なんか違う」となり、また止まる。原稿の詰まりは、書けない詰まりではなく、自分のことを言葉にする役が社内で空席になっている詰まりです。
詰まりの二つめ、「写真はあとで撮ります」が来ないまま止まる
打ち合わせで「写真はあとで撮ります」と言った瞬間に、その案件は宙に浮きます。撮る人が決まっていない、撮る日が決まっていない、何を撮るのかが決まっていない。三つとも決まっていないので、忙しい月をひとつ挟むと消えます。制作会社としても、仮画像のまま先に進めるとやり直しが増えるため、ここで止めて待つのが普通です。
沖縄の会社でよくあるのは、現場の写真はスマホに何百枚もあるのに、掲載できる写真が一枚もないという状態です。逆光で顔が真っ黒、養生シートが手前に写り込んでいる、施主の車のナンバーが入っている、社名の看板が斜めに切れている。撮ってはいるけれど、人に見せる前提で撮っていないからです。つまりここでも、機材や腕前の前に段取りが抜けています。どのページのどの位置に、どんな被写体が何枚必要か。この一覧がないまま「いい感じの写真を集めてください」と言われても、集めようがありません。
詰まりの三つめ、確認が回らず返事だけが遅れていく
原稿と写真が出たあとにも、別の止まり方があります。社長、専務、現場の責任者、事務の担当に一斉にPDFが回り、それぞれが違う観点で赤を入れる型です。専務は言葉遣いを直し、現場は工法の表現を直し、事務は電話番号の表記を直す。指摘が互いに矛盾したまま制作会社に届き、直しの往復が始まり、二周目で誰も開かなくなります。
もう一つは、逆に誰も何も言わない型です。「社長がまだ見ていないので待ってください」が二週間、三週間と伸びる。決裁者が一人で全ページを通読する前提になっていると、そこが必ず詰まります。確認の詰まりは、見る人が多すぎるか一人に寄りすぎているかのどちらかで、どちらも原因は同じ、「誰が何を見るか」を先に決めていないことです。
原稿は書かずに、話して削る

AIの使い方は順番で決まります。いきなり「当社の紹介文を書いて」と頼むと、それらしいけれど中身のない文章が返ってきて、結局ゼロから書き直しになります。うまくいくのは逆の順番で、先に自分がしゃべり、AIには整える仕事だけをさせる形です。
やり方は単純です。スマホの録音を回しながら、四つの問いに声で答えます。どんな依頼が一番多いか。どんな依頼は断るか。他社に頼んでいたお客さんが相談に来るとき、何に困っていたか。この仕事で一番手間がかかるのはどこか。一問三分、合計十二分ほどです。原稿用紙に向かうと一行も出ない人でも、この形なら止まりません。録音を文字に起こしてそのままAIに渡し、「この話を、工事を頼む側が読む前提で、ページ用の文章に整えてください。話していないことは足さないでください」と指示します。
ここでAIがやっているのは創作ではなく整理です。だから事実の取り違えは起きにくく、それでも足してきた一文があれば消せば済みます。返ってきた文章は必ず声に出して読み、自社では使わない言い回しを自分の言葉に置き換えます。「幅広いニーズにお応えします」は消して、「図面が残っていない増築でも受けます」に直す。この置き換えだけは人間の仕事ですが、白紙から書くのとは比べものにならない速さで進みます。数ページ分の初稿なら、一日で通せる分量です。
AIをどこまで自社の仕事に組み込めるかは業務の中身によって変わります。この使い方が合うか迷うときは、AIエージェント導入支援のページも合わせて見てください。
写真は撮る前に決める、紙一枚と半日で足りる

写真は、撮影の腕よりも撮る前の紙一枚で決まります。必要なのは撮影リストです。ページごとに、位置、被写体、枚数、縦横、撮る場所を一行ずつ書き出す。トップの一枚目は作業中の手元を横位置で三枚、会社紹介は事務所の外観を一枚、スタッフ紹介は同じ背景で胸から上を人数分、といった具合です。ここもAIが早い。ページ構成表を貼って「各ページに必要な写真を、被写体と枚数と撮る場所つきで一覧にしてください」と頼めば、抜けの少ない下書きが出ます。あとは自社の現実に合わないものを削るだけです。
リストができれば、撮影は半日で終わります。晴れた日の午前をひとつ押さえ、現場と事務所を回る。スマホでも、明るい時間に、逆光を避け、横位置で、同じ被写体を三枚ずつ撮れば十分に使えます。人物は背景を揃えるだけで印象がまとまります。掲載できない要素——施主の表札、他社の看板、車のナンバー——は撮る時点で外しておく。明るさの補正やトリミングは制作会社の領域なので、素材として渡せば足ります。
ひとつ注意があります。生成AIで作った画像を施工写真やスタッフ写真の代わりに使うのは避けてください。抽象的なイメージ画像としてなら使えますが、実績と人の写真は実物であること自体が信頼の中身です。
確認は回す前に、見る人と見る観点を配ってしまう
確認は、回し方より配り方の設計です。全員に全ページを見せるのをやめ、人ごとに観点をひとつに絞ります。社長は「会社として言っていることが正しいか」だけ。現場責任者は「工法や対応範囲の書き方に間違いがないか」だけ。事務は「電話番号、営業時間、住所、社名の表記」だけ。デザインの好みは観点から外し、その判断は一人に寄せる。これだけで赤の食い違いはほとんど消えます。
そのうえで締め切りを決めます。「三営業日で、直したい箇所だけ書いて返してください。返事がなければ承認とみなします」と最初に全員へ伝えておく。冷たく見えますが、これがないと止まるほうが普通です。加えて、公開前に完璧を目指さないこと。文章は公開後でも直せます。取り返しがつきにくいのは料金や対応条件の書き方くらいで、そこは断定を避け、内容によって変わる旨を添えておけば済みます。
発注側が出す材料と、制作会社に任せる領域
分担がぼやけていると、お互いが相手の作業を待ちます。着手の時点で一枚に書いて共有してしまうのが早いので、目安を挙げます。
| 項目 | 発注側が用意する | 制作会社に任せる |
|---|---|---|
| 言いたいこと | 録音十二分ぶんの中身(多い依頼、断る依頼、困りごと) | 読み手に合わせた構成への組み替え |
| 各ページの文章 | AIで整えた初稿と、自社の言葉への置き換え | 見出し・導線を踏まえた仕上げ、表記の統一 |
| 写真 | 撮影リストに沿って撮った素材データ | 選定・補正・トリミング・配置 |
| 事実情報 | 社名・住所・営業時間・対応エリア・保有資格 | 掲載箇所の設計、問い合わせ動線への反映 |
| 設計と実装 | — | ページ構成、デザイン、コーディング、表示速度、スマホ対応 |
| 確認 | 観点を絞った社内確認を三営業日で | 指摘の整理と反映、公開前チェック |
| 公開後 | 現場の変化や新しい実績の共有 | 計測環境、更新の運用提案 |
見てのとおり、発注側が持つのは事実と言葉と素材だけです。構成、導線、デザイン、実装、公開後の計測は制作会社側の仕事で、そこに口を出すより材料を早く出すほうが、完成日は確実に前に来ます。どこまで自社で持つか、外に出すかの線引きは会社の体制によって変わるので、迷う段階でお問い合わせから相談してもらえれば、分担の線だけ引くこともできます。
まとめ、一週間で材料をそろえて、あとは公開してから直す
半年動かないホームページの原因は、ほぼ材料待ちです。原稿は書かずに話して整える。写真は撮影リストを作ってから半日で撮る。確認は人ごとに観点を絞り、三営業日で締める。この三つを同じ週に並べれば、材料は一週間でそろいます。配分の目安は、録音と原稿整理に二日、撮影リスト作成と撮影に一日、社内確認に三日。ここまで来れば、残っているのは制作会社の手が動く時間だけです。
そして、公開はゴールではなく開始線です。どのページが読まれ、どんな検索語で人が来ているかを見て文章を足していく作業のほうが、実は成果に近い。その進め方はブログの他の記事で別に書いているので、公開の目処が立った段階で読んでみてください。まずは今週、録音の十二分から始めるのが一番早い一歩です。